一人ひとりが活躍できる多様性社会と自殺対策について

【導入】
こんにちは。自由民主党・都城選出の山内いっとくです。宮崎の未来を創るために地域・福祉・教育の視点で県民から届く声を県政へ届けていきたいと思います。
本日は、多様性社会における高齢者・障がい者・子ども・女性・外国人等の課題と自殺対策について、一人でも多くの方が自分らしく生きていくことできるよう、生きづらさがなくなることを目的として質問してまいります。

【背景】
子どものころ、息苦しさを感じ早く大人になり宮崎を出たいと考えていました。また、自殺を意識したこともあります。初めての選挙では、がんばってねと握手してくれた方が翌日に自殺されました。また、一昨年は、同級生が仕事を苦に自ら命を絶ちました。まわりに相談できないことも多いため、相談できるシステムを作りたいとAIの研究をおこなっている大学へと進学しました。
今年生成AIが話題となり大変期待しているところです。生きづらい社会を変え、障がい者、高齢者、男性、女性、外国人関係なく、一人一人がきらりと輝く多様性のある社会にしたいと考え、市
議会では、当事者の声を聴き、それぞれの課題に取り組んできました。自殺は身近で、県内どこにでもある大きな問題です。総合計画2023アクションプランにおいても、「未来を担う子ども
たちの育成」や「一人ひとりが自分らしく生き生きと活躍できる共感・共生社会づくり」を掲げております。

(1)女性の活躍支援について
①多様性社会において、特に「女性」は多様性(ダイバーシティ)の重要な要素であり、女性の活躍が進むことで、多様な視点や価値観、創意工夫がもたらされ、社会を変える力となることから、これまで以上に「女性の活躍」が求められています。女性活躍推進とは「働きたい女性がその個性と能力を十分に発揮し活躍できる社会」を目指す一連の施策のことをいい、労働人口が減少している日本において、重要な取り組みとなっています。内閣府は男女共同参画社会に関する世論調査の結果で女性活躍が進まない理由として「育児や介護、家事などに多くの時間を費やすこと」があるという回答が84%に上ったとありました。女性の活躍のために、介護や育児をサポートしくれる、認知症カフェや放課後児童クラブや地域食堂などの支援が必要となります。しかし、そこでは、
ボランティアに近い形で働く女性が多くおります。矛盾を感じるわけです。女性の声の一つとして、管理職や政治家の女性だけに焦点をあてるのではなく、家事や育児でも頑張っている女性すべてに光をあてて欲しいとありました。キャリアアップを目指すだけでなく、全ての人があらゆる分野でその個性と能力を発揮できる社会が重要と考えます。

質問

キャリアアップを目指すだけでなく、全ての人があらゆる分野でその個性と
能力を発揮できる社会が重要と考えるが、県としてはどのように取り組んでい
くのか伺いたい。(知事)

(答)
急速な少子高齢化や人口減少、価値観の多様化が進む中、豊かで活力のある宮崎づくりを進める上においては、男女が共に責任を担い、自らの意思に基づきその個性と能力を十分に発揮することにより、社会のあらゆる分野に参画できることが求められております。
 このような中で、「女性の生き方はこうあるべき」といった固定的な性別役割分担意識の解消を図るとともに、一人ひとりが希望する多様な生き方を支援していくことが重要と考えております。
このため、県では、男女共同参画センターと連携しながら、学校への出前講座等、男女共同参画に関する研修や啓発を行うほか、育児や高齢者支援などの社会貢献活動等を含め、多様な分野で活躍する身近なロールモデルに関する情報提供等を行っているところです。
今後とも、一人ひとりにとっての理想とする生き方、働き方を実現できる社会を目指し、積極的に取り組んでまいります。

②みやざき女性の活躍推進会議では、「女性の意識改革」、「各企業や団体自らによる職場環境改善」、「女性も男性も安心して働ける宮崎にするための行政からのサポートの充実」の3つの点が重要だと言われています。本県は、働きやすい職場の認定として独自に「ひなたの極」認証を行っております。国としては、女性の活躍推進を行う企業の「えるぼし認定」、子育てサポート企業の「くるみん認定」などがあります。働く場は、国籍や障害の有無、老若男女問わず、重要です。

質問

「働きやすい職場『ひなたの極』」の認証企業をどのように増やしていくのか伺いたい。(商工観光労働部長)

(答)
性別や年齢などに関わらず、誰もが安心して働くことができる職場環境の整備は、労働力人口が減少している本県において、重要であると考えております。
このため県では、平成30年度から、仕事と生活の調和に特に優れた企業を「働きやすい職場『ひなたの極』」として認証しており、今年11月1日現在で58の企業を認証しております。
 この認証制度については、事例集の配布や広報誌への掲載などにより、周知広報に力を入れているところでありますので、引き続き、宮崎労働局や社労士会などの関係機関とも連携を強化しながら浸透を図るとともに、認証取得により選ばれる企業になるメリットも認識していただくことで、さらなる増加につなげてまいります。

③日本の女性の労働力が2.5%上昇すると約10兆円のGDP効果があると言われています。また、女性の3大疾患(子宮頸がん・乳がん・子宮内膜症)による経済損失は6.37兆円とも言われています。女性が躊躇することなく活躍できるようにするためには、女性の健康向上が必要です。しかし、これから妊娠・出産を考える世代で子宮頸がんに罹患率が高くなっています。これは少子化にも大きな影響を与えています。市町村が実施する子宮頸がんワクチンの接種が進んでお
らず、本県は接種率が低い状況です。

質問

市町村が実施する子宮頸がん予防ワクチンの接種が進んでいないが、実施率
の向上に県としてどのように取り組むのか伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
本県の令和4年度の定期接種初回実施率は33.3%と、全国平均の42.2%を下回っております。
県では、これまで、予防接種の実施主体である市町村の取組を促すとともに、県民の不安を払拭するための相談体制の構築に努めてきたところですが、ワクチン接種のさらなる促進を図るため、今年度より新たに「子どもを取り巻く感染症緊急対策事業」を開始し、医師会等と連携して、市町村、学校、医療機関等の関係者向け研修会を開催したほか、接種対象となる若者や保護者向けに
テレビCM、SNS等による啓発を行うこととしております。
ワクチン接種は子宮頸がん予防に有効であるため、引き続き、一人でも多くの方に接種していただけるよう取り組んでまいります。

【提言】
期待しておりますが、当事者にしかわからない悩みもあるため、当事者が相談に乗れるような体制の検討を提言いたします。また、奈良県葛城市では、生徒がタブレット端末に書き込んだ日記を人工知能が解析し、不安や悩みをいち早く発見して支援する相談システムを導入して、成果を上げております。是非、本県でも検討するよう提言いたします。

(2)LGBTQの支援相談について
①2022年、10代LGBT当事者の自殺念慮や自殺未遂の割合は上がっており、さらに日本財団の調査とLGBTの10代の調査を比較したとき、10代のLGBTの自殺念慮は3.8倍と高くなっています。LGBTの自殺念慮や自殺未遂が高くなっている背景には、LGBTであることやそれに関する相談を十分に行えていないことがあると考えられます。児童生徒が安心して相談できる体制や、カミングアウトやアウティングに関する体制整備が必要です。

【LGBTQの相談支援について】

性的マイノリティの児童生徒が学校で安心して相談できるための取組につい
て伺いたい。(教育長)

(答)
県教育委員会におきましては、不安や悩みを抱えた児童生徒が、一人で悩まず、相談できる力を身に付けるよう「SOSの出し方に関する教育」を推進しており、性的マイノリティの児童生徒も、安心して相談できるよう取り組んでおります。
また、管理職を対象とした人権教育に関する研修において、個別の事情に応じて丁寧に対応することや本人の意志に反して第三者に伝えないことなどをまとめた研修資料を用い、教職員が対応できるよう周知しております。
現在、当事者の方々からも御意見を伺いながら、性的マイノリティの児童生徒へ適切に寄り添えるよう教職員向け対応マニュアル等の作成を進めており、引き続き、児童生徒が安心して相談できる体制づくりに取り組んでまいります。

【提言】
  期待しておりますが、当事者にしかわからない悩みもあるため、当事者が相談に乗れるような体制の検討を提言いたします。また、奈良県葛城市では、生徒がタブレット端末に書き込んだ日記を人工知能が解析し、不安や悩みをいち早く発見して支援する相談システムを導入して、成果を上げております。是非、本県でも検討するよう提言いたします。

(3)子供の居場所支援について
①宮崎県教委は10月6日、文部科学省が公表した2022年度の問題行動・不登校調査結果のうち県公立学校分について、小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒数は過去最多の2337人(前年度比493人増)となったと発表がありました。人権同和教育課は不登校の増加要因を「コロナ禍による環境変化で生活リズムが乱れ、登校意欲が低下する状況があった」などと分析されております。そして、フリースクール連絡協議会が県内でも立ち上がりました。文部科学省が示す要件を満たしているフリースクールであれば、在籍している学校を出席扱いにできるといいます。期待しているところですが、フリースクールを把握されていない自治体もあると伺っています。フリースクールなどの子どもの居場所を行政も把握し、出席扱いにできるフリースクールを増やす必要があると考えます。

【こどもの不登校支援について】

義務教育段階におけるフリースクール等の出席扱いについて伺いたい。(教育長)

(答)
 不登校児童生徒がフリースクール等を活用した場合、国の示す要件を満たすことで、出席扱いとすることができるようになっております。
 具体的には、保護者と学校との間に十分な連携体制が保たれていることや、学習内容が適切であることなどについて、校長が、設置者である教育委員会と十分な連携を取り、総合的に判断することとなっております。
 県教育委員会といたしましては、本年10月に、これらの要件について、フリースクール及び市町村の関係者を含めた連絡協議会の中で説明したところであります。
 今後も、市町村教育委員会と連携しながら、各学校で一人一人の児童生徒の社会的自立に向けた、適切な対応がなされるよう取り組んでまいります。

②小規模特認校には、大規模校でなじめなかった児童生徒が通学しているケースも多いようですが、保護者の送迎が条件となっていたりし、共働きでなければ、生活していけない社会においては、家計の負担も多く、あきらめざる得ない状況もあるようです。しかしながら、自治体によっては、スクールバスを用意し、児童数が増えている学校もあります。今年10月からシニアパスが始まり、65歳以上の高齢者は、県内全線1乗車200円で利用できます。三つの日本一挑戦プロジェク
トの1つに「子ども・若者」があります。

質問

小規模特認校のために、スクールバスを運行している自治体もあるが、県が支援することはできないか伺いたい。(教育長)

(答)
 小規模特認校制度は、各市町村が、特定の小規模校を特認校として指定し、少人数での教育のよさを生かした、きめ細かな指導や特色ある教育を行うもので、当該市町村内のどこからでも就学が可能となっております。
 県内では、この制度を利用して、10の自治体が特認校を指定し、そのうち、3つの市町がスクールバスを運行しております。
 このように、実施主体が市町村であり、地域の実情に応じた対応がなされているところであります。

③学びの多様化学校いわゆる不登校特例校は、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校で、現在全国に24校しか設置されておりません。今年8月永岡佳子文部科学大臣は、この学びの多様化学校を全国に300校設置を目指すと述べられました。宮崎の人口規模で行けば、3校程度の設置が必要だと考えられます。

質問

県として学びの多様化学校の設置を行う考えはないか伺いたい。(教育長)

(答)
 今年8月に「不登校特例校」の新たな名称について文部科学省より通知があり、実際に当該学校に通う子どもたちの目線に立った観点から、「学びの多様化学校」もしくは、設置者等において工夫された名称とするなど適切に対応するよう示されております。 
 現在、県教育委員会といたしましては、設置の検討は行っておりませんが、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策の一つとして、子どもの実態に応じた教育課程を編成できる「学びの多様化学校」の設置は、大変重要であると考えております。
 今後、設置を検討している複数の市町と意見交換を行いながら、必要な支援を行ってまいります。

④都城市には、ふるさと育成協議会というものがあります。その協議会の活動の1つに、定時制を支援する活動があるようです。それは、協議会が各中学校を周り、学校に来ることができない生徒や家計状況等により全日制高校に進学できない生徒に対して、働きながら都城泉ヶ丘高等学校の定時制や宮崎東高校の通信制に通学できるように支援する取組を行っているようです。これは都城市も支援しております。この取組は全県下に広げ、経済的理由や家庭環境などの理由で進学できないでいる子ども達をなくすべきだと考えます。

質問

「ふるさと育成協議会」のような定時制・通信制高校の進学支援の取組を広げていくべきと考えるが、教育長の見解を伺いたい。(教育長)

(答)
議員から御紹介のありました「ふるさと育成協議会」の取組につきましては、定時制・通信制高校で働きながら学ぶ生徒にとって大変心強い御支援であると考えております。
県内では他にも定時制・通信制教育振興のために各地で自治体や企業から様々な御支援をいただいております。
県といたしましても、この度の御紹介を受けまして各地域の取組を定時制・通信制高校の管理職で構成する定時制通信制教育協議会にて改めて共有することで今後の支援の充実に努めてまいります。

(4)若者の地域参画支援について
1 マツコの知らない世界という番組で、イメチェンがテーマになったものがありました。その中で宮崎の女性のイメチェン希望率が7割を超え一番高いという結果のため、宮崎出身の若者にアンケートしていました。したいイメチェンの第3位「髪を染める」、第2位「ピアスをする」、第1位「宮崎を出る」という答えだったようです。本県出身、東京で働く若者と話をしたところ、スタートアップを支援してくれる体制があれば、宮崎に戻ってきたいという声もありました。

【若者の地域参画支援について】

本県のスタートアップに対する支援の状況について伺いたい。(商工観光労働部長)

(答)
スタートアップは、先進的な技術やアイデアを強みに新しいビジネスの急成長を目指す創業のことであり、県では、今年度改定した「みやざき産業振興戦略」の主な施策の一つに新たに位置づけ、現在「みやざきスタートアップ創出・成長促進事業」に取り組んでいます。
この事業では、スタートアップの気運醸成に向けたセミナー等を開催するとともに、 投資家との資金調達のためのマッチングの機会などを設けており、今年度は、昆虫の家畜飼料等への活用や、電源が不要なアロマ拡散器の開発等に取り組む3社を支援しています。
 今後とも、新たなビジネスに挑戦する先進的な企業の成長を促進し、本県経済の活性化につなげてまいります。

②将来にわたって地域の機能を維持し、地域経済を活性化していくためには、特に県外流出の大きい若者や女性に選ばれ、暮らし、働くことの楽しさや幸せを実感できる環境にしていくことが重要です。しかしながら、宮崎では、県外就職率も高く、それが不十分であると考えます。日本一の「子ども・若者」政策を行うためには、まず、子どもの・若者の声を聴く必要があります。子ども家庭庁が設置され、子ども基本法が制定され、その中には、意見表明権などが書かれています
。この法律で、子ども若者の政策に対して、子どもの声を聴くことは自治体の義務となりました。

質問

こどもの意見聴取が義務化されたが、若者も含めどのように対応するのか伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
こどもの意見聴取の手法としては、アンケートやパブリック・コメントのほか、審議会等への参画、SNSの活用などが想定されますが、本県では、今年度、約300人のこどもモニターを募集し、こども達から意見を伺い、施策に反映することとしております。
 また、若者の結婚に対する意識が変化していることや、コロナ禍の影響により婚姻数が大きく落ち込んでいる状況を踏まえ、「ひなたの出逢い・子育て応援運動」の出逢い応援部会委員として、高校生及び大学生の4名に参画していただき、若者の意見を今後の出逢い・結婚支援の施策等に活かすこととしております。

【提言】
  宮崎に残る若者を増やしたいのであれば、県外に出る若者の声を拾う取組も視野にいれていただくよう提言いたします。

③若者の地域参画のために、福井県鯖江市ではJK課を立ち上げて、地元のJK(女子高生)たちが中心となって、自由にアイディアを出し合い、様々な市民・団体や地元企業、大学、地域メディアなどと連携・協力しながら、自分たちのまちを楽しむ企画や活動をたくさん行っており、「市民主役条例」も策定しております。奈良県議会では、高校生議会を行い、提案された政策が実現したものもあるようです。このようにただ声を聴くだけでなく、政策までつなげているところもあります。

質問

こども・若者意見の政策反映のため、若者議会を設置してはどうかと考えるが、知事の所感を伺いたい。(知事)

(答)
 今年4月のこども家庭庁設置に伴い、国はこどもの意見聴取や、こどもファスト・トラックの推進など、こどもまんなか社会の実現に取り組み始めたところであります。
 私もその趣旨に賛同し、先日開催された「子育て応援フェスティバル」において、県内市町村長と共に「こどもまんなか応援サポーター」への就任を宣言したところであり、こども達の意見をこれまで以上に伺いながら、その声を施策に反映するなど、日本一生み育てやすい宮崎づくりに向けた取組を一層推進していくこととしております。  
 議員より提案のあった若者議会については、こども達から意見を聴取する手法の一つと考えておりますが、まずは「こどもモニター制度」を通じて、できるだけ多くのこども達が県政に対する意見や提言を直接述べることができる機会を提供することとしており、今後の手法については、今年度の実施状況や、既に取り組んでいる他県の状況も踏まえ、検討してまいります。

(5)高齢者の健康支援について
①わが国の65歳以上の高齢者人口は2040年に3,920万人でピークを迎えると推計されている。医療機関や介護施設の利用状況を踏まえると、2040年に自宅で最期を迎える高齢者は現在の約2倍の35万人弱に上ると予想される。同居・別居を含めた家族に「介護力」を求めることは限界に達しています。ここに、昨今の物価高による生活困窮から「介護休業等を取得する余裕がない」などの事情が加わると、同居家族がいても、通所系だけでなく訪問介護に頼るという傾向は今後も常態化していくと考える。2023年09月02社会福祉法に基づき全市区町村にある社会福祉協議会で、運営する訪問介護事業所が過去5年間に少なくとも約220カ所、廃止や休止されたことが共同通信の全国調査で公表されました。また、2019年度の厚生労働省の調査によると宮崎県の介護従事者数は、数値令和5年度必要数22,558人に対して推定21,009人、令和7年度必要数23,339人に対して推定20,692人、 2040年度必要数27,251に対して推定17,703となっています。今後、介護職員の不足が見込まれる中、業務効率化や職員の負担軽減を図るための取組が必要と考えます。

【高齢者の健康支援について】

今後、介護職員の不足が見込まれる中、業務効率化や職員の負担軽減を図るための取組が必要と考えるが、県の見解を伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
本県の介護職員数は、近年は増加傾向にあるものの、令和7年度には2,647人不足すると推計しており、介護人材の確保とともに、介護サービスの質を確保しつつ、限られた人材で必要なサービスを効率的に提供することが重要になります。
このため、県では、介護現場の業務効率化や職員の負担軽減を図るため、例えば高齢者の睡眠状態を把握することで巡回回数を減らせる見守りセンサーなどの介護ロボットや、介護記録等の書類作成業務を効率的に行うことができる介護ソフトなどのICTの導入を支援しております。
今後とも、介護ロボットやICTの活用等による介護現場の生産性向上について、人材確保の取組と一体的に進めてまいります。

②厚労省は高齢化社会の進展をにらみ、病気になったり、介護が必要になったりする時期を遅らせることに重点を置いてきました。国民の健康づくりの指針となる「健康日本 21」を2000 年度に作りました。宮崎県総合計画「未来みやざき創造プラン」においては、「目指せ!健康長寿日本一」がスローガンに掲げられ、令和元年度には、女性の健康寿命は全国3位と、取り組みの成果が見られます。一方で、喫煙率や肥満率、心臓病の死亡率が全国平均より高く、また検診受診率が低いという問題点を抱えており、健康寿命延伸のためにはより一層の専門的なアプローチが必要と考えられます。宮崎大学では、県や市町村などの自治体や医師会とも連携しながら、6 年間の本プロジェクトを通じて地域社会全体を支えていく「地域共生社会の宮崎モデル」構築を目指していきます
。宮崎県は、全国平均と比べ喫煙率・飲酒率・メタボ・肥満の率が高く、歩数が少ないことがデータからわかっている状況です。しかしながら、特定検診受診率は49%と全国平均を大きく下回ります。

質問

健康長寿日本一に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺いたい。(知事)

(答)
 少子・高齢化が急速に進む中、地域社会の活力の維持・推進のためには、県民が、生涯にわたって健やかで心豊かに生活できる「健康長寿社会」の実現が重要であります。
 このため、県では「健康長寿日本一」を目指し、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目標に、こどもから高齢者まで、各ライフステージに応じた取組を進め、令和元年の健康寿命は、全国で男性9位、女性3位と、前回の20位台から大きく順位を上げています。
 コロナ禍等の影響による食生活の乱れや運動不足による生活習慣病の増加等が懸念される中、これまでの取組や新たな健康課題等を踏まえ、関係者の皆様からの様々な御意見をいただきながら、県民の健康づくりの基本指針である「健康みやざき行動計画21」の改定に取り組んでおります。
 今後とも、市町村や関係団体と一体となり、本計画に基づく取組を積極的に進め、健康寿命を延伸し、「健康長寿日本一」の実現に努めてまいります。

(6)障がい者の居場所支援について 
①近年、我が国の地域精神保健医療福祉サービス領域において、ピアサポーターの活用が広がりつつあり、障害福祉サービス事業所等の現場レベルでのピアサポーターの活用が進むとともに、ピアサポーターのネットワーク化や専門性向上に向けた研修の整備等に向けた動きなどもみられます。精神科医療機関におけるピアサポートワーカーの雇用の現状について、患者への良い影響としては、ロールモデルになること、専門職に話しづらいことが話せること、経験に基づく情報提供や助言等があるという声があります。

【障がい者の居場所支援について】

本県のピアサポーターの活用状況について伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 精神障がいの当事者であるピアサポーターの方が入院中の方などと、自らの病気や地域生活を送る上での様々な体験を語ったり、交流を行うピアサポート活動は、地域移行を進める上で大変重要であります。
 県では、県内8カ所の地域活動支援センターにピアサポート活動事業を委託しており、令和4年度末のピアサポーターの数は54人、年間活動回数は、310回となっており、年々増加傾向にあります。
また、ピアサポーター及び障がい福祉サービス事業者の管理者等に対する研修を実施し、質の高いピアサポート活動の取組を支援しています。
 今後とも、関係機関と連携しながら、ピアサポーターの積極的な活用を進めて参ります。

②社会で受けた傷がある中、病院から出るには大きな壁がありますが、当事者が頑張っている状況があれば、勇気づけられると言われています。しかしながら、これには、信頼関係を築くための時間が必要です。第6期宮崎県障がい福祉計画では、入院期間1年以上の長期入院患者数は、平成29年度3,217人に対して、令和5年度の目標値は、2443人となっています。しかしながら、現状は約3000人が長期入院しているようです。本県の精神障がい者の退院支援の推進のために、ピアサポーターを活用した退院支援をさらに促進する必要があると考えます。

質問

ピアサポーターを活用した退院支援に係る県の取組について伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 医療機関に入院されている精神障がいのある方が地域で安心して生活するためには、地域の理解、住まいや相談窓口などの環境整備のほか、御本人の地域生活に対する不安を解消し退院への意欲を高めることが重要です。
 このため、県では、入院患者に対して効果的な支援活動を行うために、各地域活動支援センターの職員やピアサポーター等に対する先進県の取組事例を学ぶ研修会の開催や意見交換会の実施、また、オンラインを活用した入院患者との交流会など関係機関と連携してピアサポート活動の強化を図っているところです。
 今後とも、これらの取組を進めることで精神障がいのある方が一人でも多く地域の中で自分らしく生活できるよう支援に努めて参ります。

【提言】
福岡市では各区の地域活動センター1型それぞれにピアスタッフが雇用されていたり、グループホームや就労系の事業所等にも雇用されていたりと民間事業所においては、全国的にも先進的な当事者の活動が行われています。自殺の要因として、精神疾患も大きいため、是非、先進事例を取り入れるよう提言いたします。

(7)外国人の共生支援について
①知事は、農業分野を中心とした人材確保などが目的で、県と連携協定を締結しているナムディン省やベトナム国立農業大学を訪れました。円高のため、日本が敬遠され始めている中、今後も良好な関係が築けるのではないかと期待しているところです。2020年10月時点で、本県の外国人労働者数が5616人、うちベトナム人が2291人となっているようです。法務省によると、技能実習生として日本に在留している外国人はおよそ32万人いますが、去年1年間で9006人の行方が分からなくなったということです。統計開始以降、最も多かった2018年の9052人に次いで、過去2番目の多さとなります。国籍別ではベトナムが最も多く、6000人以上となっています。技能実習生は原則、転職が禁止されていますが、より高い賃金を求め失踪した人が相次いだとみられています。

【外国人の共生支援について】

外国人技能実習生について、本県における失踪の状況を伺いたい。また、県は実習実施者に対して検査や指導・助言を行っているのか伺いたい。

(答)
 外国人技能実習制度は、国が所管している制度であり、実習実施者に対する検査等は、国の認可法人である「外国人技能実習機構」が検査を行うほか、監理団体が指導及び助言を行うこととされております。
 技能実習生の失踪は、毎年、全国で発生し、問題視されておりますが、出入国在留管理庁によりますと、本県の失踪者数は、令和2年が72人、令和3年が88人、令和4年が117人となっております。
 なお、この技能実習制度は、実習生の人権保護の観点から、「転籍の在り方」や「監理・支援等の在り方」等が有識者会議で取りまとめられるなど、現在、国において見直しが進められておりますので、引き続き、その動きを注視してまいります。

②外国人が日本で共生していくためには、日常生活においては、やさしい日本語の表記が広まることが必要になってきます。また、日本語が使用できないと難しい場面があります。特に病院にいったときに、うまく伝えることができずに困ったという声がありました。1号特定技能外国人を雇用する企業は、当該外国人が円滑に日本で働き、暮らしていくために必要な日本語を学習する機会を提供することが求められています。日本で暮らしていく上で必要な日本語は、継続的に学習してこそ習得可能なため、学習機会の提供も継続的になされることが求められます。

質問

外国人住民に対する日本語学習支援について、県としてどのような取組を行っているのか伺いたい。(商工観光労働部長)

(答)
 外国人住民に対する日本語の学習支援としては、テキストを使用しながら習熟度に応じて日本語を学習できる講座を開催しており、昨年度はオンラインを含め、延べ1,088人が受講されております。
また、地域住民と交流しながら、防災やゴミの分別など日常生活に必要な日本語を学べる教室を県内4地域で開催し、地域住民を含め、延べ276人の参加があったところです。
 さらに、これらの情報を外国人に分かりやすく提供するため、昨年12月にポータルサイト「ひなたにほんごナビ」を開設し、多言語での情報発信を行っております。
 今後とも、市町村や関係団体等と連携し、国籍にかかわらず誰もが暮らしやすい宮崎づくりを推進してまいります。

(8)就職氷河期世代の就職支援について
①就職氷河期世代は、希望する就職ができず、現在も「不本意ながら不安定な仕事に就いている」、「長期にわたり無業の状態にある」、「社会とのつながりを作り、社会参加に向けたより丁寧な支援が必要である」など、様々な課題に直面している方がいます。県としても対策をとっており、みやざき就職氷河期世代活躍支援プラットフォームを活用して、合同説明会や面談会を実施されています。

【就職氷河期世代の就職支援について】

就職氷河期世代マッチング支援事業について、その成果を伺いたい。(商工観光労働部長)

(答)
 就職氷河期世代マッチング支援事業は、就職氷河期世代の方々と、人材を求める県内企業との出会いの場として、令和3年度から実施しております。
 その成果としましては、昨年度までの2年間で合同面談会を6回開催し、延べ119名の参加者のうち、32名の方々が正規雇用に結びつきました。
 また、参加者の方々からは、「家族や知人からの後押しで参加することができた」「就職に対し、前向きに考えられるようになった」など、再チャレンジに向けた声が数多く寄せられたところです。
 今後とも、宮崎労働局など、「みやざき就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」の構成機関と連携しながら、きめ細やかな支援に取り組んでまいります。

②内閣府の調査によると、40歳〜64歳のひきこもり当事者の推計数は、部屋から出られない人から、趣味に関する用事の時だけ外出できる人までを含めた「広義のひきこもり」で推計61万3000人。2015年度にほぼ同じ条件で出した15~39歳の推計値は54万1000人で、合わせて100万人を超える当事者がいる計算です。支援策を行うためには、まず地域の実態やニーズの把握が必要であると考えます。

質問

県で把握しているひきこもりの実態について伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 県では、昨年度、ひきこもりの方の傾向や特徴を把握するため、民生委員・児童委員に対する調査を実施しました。
 その結果、把握できた該当者は600人であり、年代別では、40歳代が26.8%と最も多く次いで50歳代、60歳代となっており、また、ひきこもりの期間は10年以上が34.8%と最も多くなっています。
 さらに、当事者や家族を対象に実施した支援ニーズ調査では、「身体・精神面についての専門機関への相談」や「生活費についての相談」、「就労に向けた準備に係る支援」を必要とする方の割合が高くなっております。

③そもそも、引きこもらざるを得なかった人の多くは、就労現場などでパワハラや恐怖体験に遭って傷つけられ、安心できる居場所である自宅などに退避している人たちだ。過去の経験から、人と会うのが苦手、周囲の目線が怖い、家から出られないという状態の人もいる。「就職・進学を希望するか」という質問への答えでは、「希望していない」の回答が60.9%にもおよぶというデータもあるようです。精神科医でもある筑波大学大学院の斎藤環教授は「引きこもり状態の人に就労をゴールとして押し付けると避けられてしまう。対話ができる環境をつくり、信頼関係を築いてから社会参加につなげるべきだ」と話しています。当事者と親が高年齢化している実状もあります。親亡き後、当事者がそこで生きていくためには、ひきこもりについて、地域に理解者を増やしていかなければいけません。そうしたプラットフォームを各地でつくっていくことは、ひきこもりにかぎらず、シングルマザー、障害を持つ方、高齢者など、あらゆる人が生きていきやすい社会につながっていくものです。

質問

「市町村プラットフォーム」の設置状況と設置に向けた県の取組について伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
ひきこもりの方やその御家族は、それぞれ異なる経緯や事情を抱えているため、身近な地域において一人一人の状況に応じ寄り添う支援が大切です。
 このため、市町村において、福祉や雇用、教育など、幅広い関係機関が連携して支援を行うプラットフォームの設置を進めており、令和4年度末時点で、15の市町で設置されております。
 県では、今年度から、市町村や関係機関に対する研修会の開催や、市町村支援アドバイザーによるそれぞれの地域の課題に応じた助言を行っているところであり、これらの取組を通して、全市町村におけるプラットフォームの設置を促進してまいります。

(9)自殺対策について
①宮崎県の自殺者数は、平成10年に大幅に増加してから概ね300人台後半で推移し、平成19年に過去最高の394人を記録後、減少傾向にあるが、近年は増加に転じています。
宮崎県の令和3年の自殺死亡者数は207人と、前年(217人)と比べて10人減少し、自殺死亡率は全国ワースト5位(19.6人)となっています。女性より男性の自殺者の割合が高く、特に働き盛りの30歳代、40歳代の男性や高齢者の男性の自殺者の割合が高くなっています。また、宮
崎県の令和3年の年代別死因順位を見ると、10代から30代で自殺が死因の1位です。原因・動機別自殺者数の割合は、「健康問題」が最も高く、そのうち、うつ病をはじめとする精神疾患が全体の6割を占めております。宮崎県では離婚率が高いこと、一人当たりの所得が少ないこと、焼酎の消費量が多いこと(アルコール依存)、人口当たりのパチンコ店が多いこと(ギャンブル依存)が、自殺率に寄与する心理社会的要因になっているという研究もあるようです。自殺率の低下に向けて、これらの要因への対応が必要だと考えます。

【自殺対策について】

自殺の原因・動機として、うつ病等の精神疾患をはじめ、様々な要因があるが、県としてどのように取り組んでいるのか伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 自殺の原因・動機には、うつ病等の精神疾患をはじめ、様々な要因が複雑に絡み合っていると言われていますが、悩みや課題を抱える方が追い込まれる前に寄り添い、その要因を取り除いていくことが極めて重要であります。
 このため、県におきましては、うつ病等の早期発見・治療の促進、法律や健康・福祉といった各分野の専門家によるワンストップ相談会の開催、夜間相談電話の開設等、生活上の様々な背景・悩みにしっかりと寄り添い、必要な支援につなげる取組を行っております。
現在策定中の第5期となる宮崎県自殺対策行動計画においても、自殺のリスク要因を抱えた方々の早期発見・早期対応により力を入れていくこととしております。

②宮崎県では、宮崎県庁内に知事を本部長とする「宮崎県自殺対策推進本部」を設置するとともに、保健・福祉・医療・教育・労働等の団体や機関から構成される「宮崎県自殺対策推進協議会」を設置して、「宮崎県自殺対策行動計画」に基づいて、官民一体となった取組が進められています。先日、第5期計画素案が発表されましたが、子ども若者日本一を目指すのであれば、10代から30代の自殺率が日本一低い県を目指すべきだという考えもあります。

質問

こどもや若者の自殺死亡率が日本一低い県を目指すべきと考えるが、「宮崎県自殺対策行動計画(第5期)」において、どのような目標を設定しようとしているのか伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 本県の自殺者数は、ここ数年200人を超えており、令和4年の自殺死亡率が全国で3番目に高い20.4となるなど、大変厳しい状況にあります。
 このため、全体の自殺者数を減らすことを念頭に、今年策定した宮崎県総合計画において、 令和8年の自殺死亡率の目標を過去本県で最も低かった令和元年の17.8としておりますが、さらに、第5期の「宮崎県自殺対策行動計画」では、この減少傾向を維持し、令和10年に16.5まで減少させることを目標としたいと考えております。
 議員のご指摘のとおり、こどもや若者の自殺を防ぐことは大変重要でありますので、若年層も含めた自殺者数を1人でも減らしていくため、 官民一体となって、しっかりと取り組んでまいります。

③これまでの福祉制度や政策は、子ども・障がい者・高齢者といった対象者の属性や要介護・虐待・生活困窮といったリスクごとに制度を設けてあります。一方で、生きづらさはあるが既存の制度の対象となりにくいケースや複数の生活上の課題を抱えている場合があり、様々なニーズへの対応が困難になっています。市町村における包括的な支援体制の整備に向けて、令和2年の社会福祉法改正において、重層的支援体制整備事業が創設され、令和3年4月から施行されております。

質問

市町村における包括的な福祉支援体制の構築を図る重層的支援体制整備事業について、市町村の実施状況及び県の取組について伺いたい。(福祉保健部長)

(答)
 現在、都城市や日向市など3市1町が、重層的支援体制整備事業を実施しており、延岡市やえびの市など、2市5町が、事業実施に向けた移行準備に取り組んでいます。
 県では実施主体である市町村の後方支援を担っており、全国の先進事例を紹介するなどの研修を実施するとともに、事業の中核を担う市町村社会福祉協議会職員等を、地域福祉コーディネーターとして養成するなどの取組を行っております。
 また、今年度からは、事業の対象となる世帯を継続して訪問するアウトリーチや支援を行う様々な関係機関の調整に必要な経費などについて、その一部を県で負担しています。
今後とも、市町村が円滑かつ効果的に本事業に取り組めるよう支援してまいります。

④多様性社会において、国籍や障害の有無、老若男女問わず、相談等のできる居場所と仕事の場が必要だと考えます。多様性社会・共生社会の実現度は自殺率に表れているのではないかとも考えます。

質問

多様性を認め合い、ともに支え合う地域共生社会の実現や自殺対策に対する知事の意気込みを伺いたい。(知事)

(答)
 私達の住む社会には、様々な背景や事情を持ち、中には「生きづらさ」を感じている方や理不尽な偏見に苦しんでいる方がいらっしゃいます。
また近年、人口減少が進み、困り事を抱える方々を支える人材の確保も課題となっております。 
このような中、お互いを尊重し合い、立場や属性を超えて、ともに支え合う地域共生社会の実現に向けて、関係機関と一体となって取り組んでいく必要があり、また、こうした社会を築くことが、様々な悩みが原因で心理的に追い詰められ、自ら命を絶つ方を減らすことにもつながってまいります。 
 自殺対策は「生きることの包括的な支援」とも言われます。あらゆる背景を持った方々が、多様性を認め合い、誰もが自分らしく生きていくことができる社会を目指し、官民一体となって、引き続き、しっかり取り組んでまいります。

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