文教警察企業部会県外調査報告

〇参加議員
山内いっとく 山内 佳菜子 日髙 陽一 齊藤 了介 井本 英雄 西村 賢 前屋敷 恵美

〇調査概要
11月8日(水)
1 大阪府寝屋川市
いじめ対策の寝屋川モデル(行政の積極的介入)
2 大阪府立水都国際学校・高等学校
国際バカロレア教育(全国初の公設民営の中高一貫教育)

11月9日(木)
3 きのくに子どもの村学園
自己決定、個性の尊重、体験学習を基本方針に据える自由教育(ニイル教育)
4 近畿管区警察局災害警備訓練施設
全国初の災害に特化した複合的救助訓練施設

11月10日(金)
5 京都市立桃陽総合支援学校
自治体が設置院内学級/ictの活用

〇考察
今回、教育関係の調査が多かった。バカロレア教育やニイル教育など、興味深い教育を見させていただいた。シュナイダー教育やモンテソーリ教育、イエナプランなども含めて検討して、教育改革が必要ではないかと感じた。また、いじめ対策や院内学級も見たが、インクルーシブ教育などの多様な教育の推進も必要であると考えた。

〇1 大阪府寝屋川市
いじめ対策の寝屋川モデル(行政の積極的介入)
1 概要
教育的な指導による人間関係の再構築を目的とした教育的アプローチと、いじめを人権問題として捉え、被害者と加害者の概念を用い、いじめを即時に停止させる行政的アプローチを行っている。

2 取組内容
令和元年10月から、現危機管理部に、いじめ対応の専門部署「監察課」を設置し、市内小中学校のいじめ問題の解決に取り組んでいる。令和2年1月には、「寝屋川市子どもたちをいじめから守るための条例」を制定し、保護者及び地域住民の責務として、市(行政)にいじめに関する情報を提供するよう努め、同市は、学校等の機関に対し、講ずべき対応を勧告し、報告させる等の措置を取ることができることを明示した。

3 実績等
○監察課のいじめ対応件数
 令和2年度 169件
 令和3年度 183件
 令和4年度 337件
認知したいじめ全件について、1ヶ月以内にいじめ行為を停止させ、全件でいじめの終結を確認。

 ○今年度の対応件数(令和5年8月時点)
・いじめの認知件数    119件
・行政的アプローチによる対応件数 119件
・いじめ行為の停止を確認した件数 119件

〇2 大阪府立水都国際学校・高等学校
国際バカロレア教育(全国初の公設民営の中高一貫教育)
1 学校概要
(1)開 校:2019年4月開校
(2)所 在 地:大阪府大阪市住之江区南港中3-7-13
(3)規 模:定員 640名
     中学校2学級(80名)/1学年あたり)
     高等学校4学級(160名/1学年あたり)
     ※720名(2024年度~)
(4)経 緯: 当初、大阪市教育委員会が設置したものが、市立高等学校等の府への移管について協議した結果、「大阪府市立の高等学校等移管計画(案)」を策定、2021年1月の大阪教育委員会会議及び大阪府教育委員会会議において、それぞれ議決された。(移管された学校の一つ)高等学校の移管に伴い、中学校も府に移管。

2 特色
(1)公設民営による中高一貫校
国家戦略特区(国家戦略特別区域法における学校教育法の特例)を活用した全国初の公設民営による併設型の中高一貫校である。指定管理法人である学校法人大阪YMCAが運営。
(2)国際的な舞台で活躍するためのプログラム
・ 英語教育、国際理解教育、課題探究型事業を教育の柱とする。
・ 中学校では、学習指導要領で定められている科目の他、学校選択科目として「グローバルスタディーズ(国際理解)」と「コミュニティ&アクション」が教育課程に設定される。
・ 高等学校ではグローバル探究科が設けられ、2年次より「グローバルコミュニケーションコース」、「グローバルサイエンスコース」、「国際バカロレア(IB)コース」を設けている。
・ 海外との国際交流プログラムや海外研修を実施。
(3)国際バカロレア(I B)認定校
・国際バカロレア認定校の中でも、16~19 歳を対象とするDP(全国に67校)を実施し、学校教育法第1条に規定されている学校(全国に73校)
・ 国際バカロレアコース以外の生徒も国際バカロレアの一部の科目が選択可能。
・公立学校の学費で国際バカロレアの履修が可能。
3国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)(参考)

 国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学のルートを確保するもの。令和5年6月現在、世界159以上の国・地域、約5,600校日本での認定校等は、全体で211校(学校・プログラム単位)

〇3 きのくに子どもの村学園
自己決定、個性の尊重、体験学習を基本方針に据える自由教育(ニイル教育)
1 学校概要

(1)開 校:1992年小学校開校
(2)所 在 地:和歌山県橋本市彦谷51
(3)構 成:きのくに子どもの村学園小学校
    きのくに子どもの村学園中学校
    きのくに子どもの村学園国際高等専修学校
(4)グループ校:かつやま子どもの村小中学校(福井県)
    南アルプス子どもの村小中学校(山梨県)
     北九州子どもの村小中学校(福岡県)
    ながさき東そのぎ子どもの村小中学校(長崎県)

2 特色
A・S・ニイルの教育思想の流れをくむ自由教育を実践し、3つの基本原則を設けている。
  1自己決定の原則:学習計画や行事の立案が子どもと大人の話し合いで決定される。
  2個性化の原則:一人ひとりの違いや興味を大事にし、広い範囲の学習や活動を選べる。
  3体験学習の原則:直接体験や実際生活が学習の中心となっており、クラスはプロジェクトのテーマによってつくられ、子どもは好きなところを選んで所属する。

3 ニイルの教育思想(参考)
「子どもを学校に合わすのではなく、学校を子どもに合わせる」との考えに基づき、「サマーヒル・スクール」という名で「世界で一番自由な学校」を創設。ここでは、子供が授業に出るように強要することを一切しないという原則を設けた。また、すべてのものごとは生徒、教師の全員参加の会議で決められ、生徒も教師も同じ一票の権利を与えることとした。

【夢みる小学校(2022年公開)】
この学校は、映画「夢みる小学校」の舞台となっています。
(第32回日本映画批評家大賞 ドキュメンタリー部門大賞)

〇4 近畿管区警察局災害警備訓練施設
全国初の災害に特化した複合的救助訓練施設
1 施設の概要
(1)設 置 年 2016年
(2)設置場所 近畿管区警察局学校内
(3)設置目的 自然災害発生時の人命救助に必要な技能向上を図る
(4)設置の経緯 東日本大震災の教訓を踏まえ、南海トラフなど発生が懸念される巨大地震や各地で相次ぐ豪雨被害などへの対応力を高めようと整備が進められたもの。

2 特色
災害に特化した警察の実践的訓練施設は、当時全国で初めて。
整備費用は約2億2千万円。
地震、土砂・火山、水害の災害別訓練エリアを設定。
倒壊した木造家屋を再現する可変式訓練ユニットや人工的に水流をつくるプール、地下街が浸水した状況を再現する装置などの訓練施設を備えている。鉄筋コンクリート、鉄骨建造物での救助などを想定した「高所訓練ゾーン」や、国内の土砂や火山灰の性質を学ぶ「土質等学習ゾーン」もある。

3 近畿管区警察局について(参考)
警察庁の地方機関の一つとして、近畿地方の2府4県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)を管轄し、広域対応を必要とする警察事象が発生した際、管区内府県警察が連携して犯罪捜査や大規模災害への対応を迅速かつ円滑に行えるよう、警察庁及び管区内各府県警察の重要なパイプ役、調整役を果たしている。 

〇5 京都市立桃陽総合支援学校
自治体が設置院内学級/ictの活用
1 学校概要
(1)開校:昭和54年
  ※隣接する桃陽病院に入院する子どもたちの学校として開校
(2)所在地:京都市伏見区深草大亀谷岩山町48-1
(3)対象:長期入院・療養が必要な病弱児
(4)学部:小学部、中学部、訪問教育
(5)分教室:国立病院機構京都医療センター分教室、京都大学附属病院分教室、
京都府立医科大学附属病院分教室、京都第二赤十字病院分教室、京都市立病院分教室

2 特色
(1)長期入院する子どもたち等の支援
・5つの病院に入院する児童生徒に教育を行う分教室を設置
・分教室が設置されていない病院については、入院する子どもへの訪問教育を実施
・地域支援として、入院中の高校生への学習支援も行っている。
(2)ICT整備の充実
整備されたICT環境を活用し、病弱特別支援学校として実証研究、教育活動に取り組んできている。具体的には、平成23~25年度に文科省の「学びのイノベーション事業」及び総務省の「フューチャースクール推進事業」をはじめとした委託事業の実証校として継続的な指定(※)を受け、ICT環境を活用した教育保障体制をいち早く構築。
  本校だけでなく、分室などにもICT環境を拡充。

3 県内の状況
(1)入院中の児童生徒の通学する学校について
赤江まつばら支援学校には、隣接する宮崎東病院に入院する児童生徒が通学している。
清武せいりゅう支援学校では、宮崎大学医学部、宮崎県立病院に入院する児童生徒に訪問教育を実施している。
(2)訪問教育について
県内では、令和5年5月現在、県内7校の特別支援学校で、33名(17名は家庭で、16名は入院する病院内)の児童生徒が訪問教育を受けている。

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