「安全・安心のくらしづくり」ための広域連携と共助について

「安全安心のくらしづくり」のための
連携と共助、防災・医療・地域活動を担う人材確保について

【導入】
こんにちは。自由民主党の山内いっとくです。宮崎の未来を創るために地域・福祉・教育の視点で県民から届く声を県政へ届けていきたいと思います。
本日は、「安全安心のくらしづくり」のための連携と共助、防災・医療・地域活動を担う人材確保に関して問題提起を行うことを目的として質問してまいります。

【背景】
人口減少社会において、これまでの社会を維持・発展を行おうとすることによる課題が様々な場面で顕在化し始めています。その一つが人手不足です。行政コストが増大する一方で、各自治体が有する経営資源が限られる中、人口減少社会の課題の対応として、行政改革やデジタル化による効率化、広域連携や共助の重要性が増しています。そして、市町村の枠を超えて、より広い圏域で連携し、暮らしに必要な機能や資源を融通し合える体制づくりを推進していく必要がありますが、人材確保がなかなか進んでいないとように感じます。そこで、県としての役割の検討や県による市町村への補完・支援が必要な状況であると考えます。

(1)広域連携と共助について

①「安全・安心のくらしづくり」おける広域連携について
「みやざき圏」人口社会減対策広域連携事業が展開されており、社会減の対策として、高校生の県外流出の抑制や移住定住政策が行われています。移住定住を促進し、関係人口や交流人口を増加させ、地域経済や活力を維持しようとしているものと理解しています。しかしながら、経済だけでなく、地域における暮らしに必要な機能の確保に努めるためにこそ、広域的な地域連携や住民主体による地域課題の解決を促すことが必要であると考えます。人口減少の著しい中山間地域の振興においては、特に重要です。

【質問】

安全・安心のくらしづくりを進める上で、地域間連携が重要であると考えますが、人口減少が著しい中山間地域における取組について、知事に伺います。

(答)中山間地域では、急速に進む人口減少により、担い手不足とともに、交通、買い物、医
療など暮らしに必要な機能やサービスの維持・確保が困難となりつつあります。
こうした中、安全・安心で持続可能な暮らしを実現するためには、議員御指摘のとおり
、市町村や集落が連携し、相互に補完し合うことが重要と考えております。
このため、県では、市町村や地域住民と一体となって、地域交通の最適化や医療、介護
、防災等のセーフティネットの構築などに取り組むとともに、複数の集落が協力して日常
生活の機能を確保する「宮崎ひなた生活圏づくり」を進めているところであります。
今後とも、市町村や集落の枠を越えた取組の促進を図り、人口減少が進む中にあっても
、住民が将来にわたり住み慣れた地域に安心して暮らすことのできる環境づくりを進めて
まいります。

②自治会による共助について
自治会は、行政事務連絡を担ったり、子ども見守り隊や自主防災組織の中心になったりしており、行政の最も小さい単位になると認識しています。しかしながら、加入率は減少している状況であり、移住定住など新しくその地域に住まわれる方も新規に加入される方は少ないと感じています。そのため、自治会に関連のある高齢者クラブや壮年会・婦人会なども減少し、地域の活力低下にもつながっております。

【質問】

自治会の役割と加入率向上に向けた取り組みについて、知事に伺います。

(答)
自治会等の自治組織は、公共的な活動の担い手であり、防犯・防災対策や、子育て支援、地域行事などの地域コミュニティが果たしてきた共助の機能を維持していく上で、大変重要な役割を担っております。
しかしながら、人口減少が進む中、県全体の世帯加入率は約6割で、役員のなり手不足などから組織数も減少傾向となっており、本県全体の活力低下につながりかねないと認識しております。
このため、県では、自治組織の活動強化を図るため、宮崎県自治会連合会に対し、広報活動や研修会開催に要する経費を支援するほか、加入率向上を図るため、市町村等に対し未加入者対策に資する情報提供を行い、加入促進に向けた幅広い呼びかけを促しております。
引き続き、連合会や市町村とも連携しながら、地域の営みに欠かすことのできない自治組織の活動を支援してまいります。

(2)防災対策と危機管理について
近年、異常気象は激甚化・頻発化し、我が国の豪雨の発生頻度が増加している。また、南海トラフ地震、などの大規模地震の発生も切迫している。一方で、これまでの国土強靱化の着実な取組により、大規模な被害を抑制する効果が発揮されてきております。

①強風対策について
令和4年の台風14号については様々な被害がありました。被害の1つに瓦屋根の被害があります。瓦業を経営している17社への瓦の修理依頼状況は、県内約3000件とかなり多い被害のようです。国土交通省は、令和元年房総半島台風を踏まえ建築物の強風対策の方向性を示し、住宅・建築物安全ストック形成事業を実施しています。県内では、宮崎市と日向市が採用していますが、台風被害に備え、県としても住宅・建築物安全ストック形成事業を推進すべきと考えます。また、瓦屋根の修理等を行う建築関係者に向けた研修会も必要であると考えます。

【質問】

屋根の強風対策についてどのように考えているのか、県土整備部長に伺います。

(答)
屋根の強風対策につきましては、令和2年度に屋根瓦の強風に対する飛散防止の基準が改正されたところであります。
また、令和3年度からは、国の住宅・建築物安全ストック形成事業の対象に市町村が行う住宅の屋根瓦改修の補助事業が追加され、現在、宮崎市及び日向市において取組が進められているところであります。
県としましては、木造住宅の耐震化に重点的に取り組んでいるところでありますが、屋根の強風対策につきましても重要であると認識しておりますので、改めて国の交付金事業の活用について市町村に周知するとともに、建築工事業者に対し、研修会などの機会を捉えて、新たな基準の徹底に努めてまいります。

②被災度区分判定の有資格者の状況について
今年5月24日の読売新聞によりますと、『地震で被災した建築物が復旧可能か評価する「被災度区分判定」の有資格者が、ピーク時の2割以下に急減している。一般財団法人・日本建築防災協会(東京)によると、熊本地震が発生した2016年の年度末には全国で約1万1000人に上ったが、今年3月末時点では約1800人に落ち込んだ。復旧できる建物の判断が遅れれば、避難生活の長期化などが懸念され、関係者は人材不足に気をもんでいる。』という記事がありました。本県においても、有資格者が減少していることが考えられ、避難生活の長期化となるのであれば、不安に思うところがあります。

【質問】

被災度区分判定の有資格者の県内の状況と見解について、県土整備部長に伺います。 

(答)
地震により被災した建築物については、倒壊などの可能性があることから、まずは、県や市町村が主体となって、その危険性を速やかに判定し、注意喚起を行う「応急危険度判定」の体制を整備しております。
「応急危険度判定」ののち、被災した建築物が復旧できるかどうかの判定を所有者等の依頼に応じて実施するものが、議員ご指摘の「被災度区分判定」であります。
この判定については、民間資格として、現在、県内で6名に技術者証が交付されておりますが、県内に約1,000ある建築士事務所においても対応は可能となっております。
県としましては、大規模災害に備えた技術者の確保などについて関係団体と情報共有を図りながら意見交換を行ってまいります。

【提言】
技術者の確保とともに、災害対応空白地域がでないよう取り組んでいただくことを期待しております。

③地域のアマチュア無線団体との連携について
本県においては、従来から災害時における基幹的な通信施設として総合防災情報ネットワークシステムが整備されシステムの充実が図られています。非常通信体制の確保にあたっては、あらゆる情報伝達手段の整備が必要であると考えます。アマチュア無線は、近年、災害ボランティア活動などでも活用が広がっており、総務省も令和3年9月に社会貢献活動でのアマチュア無線の活用のパンフレットを発行して推進しています。すでに自治体と地域のアマチュア無線団体・クラブ等との間で災害時応援協定等が結ばれ、災害情報の収集・伝達が行われている地域もあります。

【質問】

災害時におけるアマチュア無線団体との連携について、どのように考えているのか、危機管理統括監に伺います。

(答)
大規模災害発生時の備えとして、多様な情報伝達手段を確保することは重要であり、東
日本大震災において、市町村と避難所等の間での情報伝達に、タクシー会社やアマチュア
無線関係団体の協力を得て、アマチュア無線を活用した事例があることは承知しておりま
す。
このため県では、令和元年に県内のアマチュア無線関係団体と意見交換を行ったところ
でありますが、先方の組織体制や災害時の協力内容に課題が見られたことから、団体との
連携のあり方について、引き続き研究してまいります。

【提言】
総務省も推進しておりますので、アマチュア無線団体からの申し出等がありましたら、連携していただくよう提言いたします。

④災害時のドローンの活用について
県ではいくつかの部局においてドローンを保有しており、今年度の補正予算においても、災害時等で活躍するドローン活用強化事業が新しく行われるなど、ドローン購入や操縦士の数の増加が図られています。ドローンは性能が年々よくなってきていることや、民間でもいろいろな用途に活用されてきており、防災面での活用も広がっております。そこで、民間企業等との防災協定も積極的に行うべきではないかと考えます。

【質問】

災害時のドローン活用について、民間企業等との連携をどのように考えているのか、危機管理統括監に伺います。

(答)
災害時に、上空から被災状況を確認する手段として、ドローンは大変有効であります。
危機管理局においてもドローンを所有し、昨年は火薬類の事故現場で活用しております。
また、県では、今年1月1日現在、民間企業や団体等と145件の災害時応援協定を締結しておりますが、これら企業・団体等の中には、例えばNTT宮崎支店のように、災害時の活動においてドローンを活用するところもあります。
今後、県が所有するドローンの利活用を進めるとともに、ドローンを所有あるいは活用している企業・団体等との連携強化や、新たな協定締結を検討してまいります。

⑤防災道の駅の役割について
道の駅都城が本県で唯一防災道の駅として選定されました。熊本地震においては、道の駅が、一時的な避難所としても活用され、防災拠点として機能したようです。国土交通省は、都道府県の地域防災計画等で、広域的な防災拠点に位置付けられている道の駅を「防災道の駅」として選定し、防災拠点としての役割を果たすための重点的な支援をハード・ソフト両面で行っています。選定要件としては、都道府県が策定する広域的な地域防災計画もしくは受援計画及び新広域道路交通計画に広域的
な防災拠点として位置づけられていることとなっています。

【質問】

道の駅都城の県の防災上の位置づけについて、どのようになっているのか、危機管理統括監に伺います。

(答)
「道の駅都城」を含む県内18箇所の道の駅は、宮崎県地域防災計画において、救援物資等の備蓄拠点又は集積拠点のうちの、道路空間を利用した防災拠点として位置づけられております。
なお、「道の駅都城」は、国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に基づく宮崎県実施計画において、南海トラフ地震が発生した場合、国土交通省の緊急災害対策派遣隊、いわゆるTEC-FORCE(テックフォース)の進出拠点として位置づけられております。

⑥防災士の育成と支援について
自主防災組織のリーダーに対する研修を通じて自主防災組織の育成強化を図るものとされております。また、自主防災組織の活動や自主防災組織が行う消化、救助、救援等のための機材の充実を支援するとしています。防災士の人数については、十分な人数がおられるように考えていますが、資格取得後の支援や研修が不十分ではないかとの声もあります。

【質問】

防災士の育成について、どのような研修や支援を行っていくのか、危機管理統括監に伺います。

(答)
本県の防災士の数は、令和5年5月末現在で6,674名であり、人口10万人あたりの数は全国6位となっております。
県では、これら防災士に対し、今年度は、地区防災計画の勉強会などの知識を深める講座を10回、図上訓練や応急手当などの実践的な訓練を11回、県内各地域で実施することとしております。
また、「自主防災活動ハンドブック」などを送付し、活動を支援することとしております。
今後とも、防災士が地域や組織の防災リーダーとして活躍できるよう、資格取得後の研修や支援の充実に努めてまいります。

⑦消防団への支援について
公共のボランティアに参加する人数が減っており、消防団においても例外ではありません。特に中山間地域のおいては、定員割れが続いている状況です。総務省の消防団の組織概要等に関する調査(令和4年度)によると、全国で4年連続1万人以上の減少、令和3年度と比較すると2万人以上の減少となっているようです。また、令和4年4月1日現在の宮崎県の消防団員数は、条例定数15,435人に対して、1,761人の定員割れのようです。そのためにも消防団の充実・活性化が必要です。

【質問】

消防団の充実に向けた県の取組について、危機管理統括監に伺います。

(答)
消防団は、火災や水害などが発生した際には、速やかに現場に駆けつけ、消火や住民の避難誘導などを行っております。また、平時には、防火指導や夜間の巡回広報活動を行うなど、地域防災の要として、極めて重要な役割を担っております。
このため、県では、県内の大学生や全ての高校生に団員募集チラシを配布し、消防団の重要性や魅力をアピールするほか、若手や女性団員による意見交換会を開催することなどにより、団員の確保に努めております。
また、防火服や安全靴などの装備、消防ホースやポンプなどの資機材等の整備を行う市町村に対して、補助を行っております。
今後とも、市町村と連携しながら、消防団の充実を図ってまいります。

⑧学校におけるJアラートに対する危機管理について
「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下国民保護法)が平成16年に施行され、本県でも宮崎県国民保護計画が作成され、平成30年に修正されております。昨年、ロシアのウクライナ侵攻があり、今年は、Jアラートの発令もあり、日本も他人事ではない出来事が起こっております。大人においては、Jアラートに対して徐々に周知されてきておりますが、学校におけるJアラートの情報伝達訓練の話はあまり聞かない状況です。

【質問】

Jアラートに対する学校の取組について、教育長に伺います。

(答)
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しており、学校における危機管理は、適時適切に見直しを図り、様々な危機に対応できるようにしておくことが極めて重要であります。
国は平成30年に「学校の危機管理マニュアル作成の手引」で弾道ミサイル発射等の国民保護に関する新たな危機事象への、Jアラートを含めた対応を示しております。各学校では、それを参考に避難行動の流れについても再確認し、マニュアルの見直しを行っているところであります。
県教育委員会といたしましては、教職員はもとより、子どもたちが緊急時に主体的に行動し、適切に対処する力を身に付けられるよう引き続き、市町村教育委員会とも連携しながら指導してまいります。

【提言】
 国民保護計画から5年経過しておりますが、学校によっては、危機管理マニュアルへの記載がない学校もあるようですので、改善を提言いたします。

(3)消防・救急体制について
消防白書によると、高齢化の進展等により救急需要は今後増大する可能性が高いことが示されており、救急活動時間の延伸を防ぐとともに、これに伴う救命率の低下を防ぐための対策が必要とあります。

①ネット119と映像伝送システムについて
ネット119は、音声による119番通報が困難な聴覚・言語機能障がい者が円滑に消防への通報を行えるシステムです。県内では、小規模な自治体では、ネット119が導入されていないところもあります。また、全国では、映像伝送システムが広がりつつあります。映像伝送システムは、通報者が撮影する映像から通報現場の状況を確認することのできるシステムです。本県では、まだまだ認知されておらず、導入されていないところが多くあります。

【質問】

ネット119と映像伝送システムについて、県内の導入状況と県として導入に向けてどのように取り組んでいくのか、危機管理官統括監に伺います。

(答)
ネット119は、聴覚や言語機能に障がいのある方が事前に登録しておくことにより、円滑に119番通報ができるシステムで、現在、県内10消防本部のうち9本部で導入されております。
このシステムについては、国から県に対し、早期導入に向け助言や取組を行うよう求められておりますので、未整備の消防本部等に対し、その必要性やメリットの紹介などを行うこととしております。
次に、映像伝送システムについては、都城市消防局のみが導入しておりますが、事前に現場の確認や通報者への指示ができることなどにより、迅速かつ的確な対応につながっていると聞いておりますことから、各消防本部への情報提供に努めてまいります。

【提言】
ネット119や映像伝送システム以外にも、救急安心センター事業(#7119)や全国版救急受信アプリ(Q助)などの総合的な活用推進を提言いたします。

②消防指令業務の共同運用化について
総務省は、消防・救急体制の充実強化の1つとして、消防の広域化を挙げており、消防指令センターを運用しているところが増えています。消防指令センターは119番通報の受付を行い、消防車や救急車の無線管制等の通信指令業務の運用を共同で行っています。効果としては災害発生時における初動体制の強化や本部機能統合等の効率化による現場活動要員の増強があります。例えば、いばらき消防指令センターは、ほぼ県域1ブロックで平成28年より運用されており、効果として、整備費130億円、維持管理費で8.4億円の削減効果や、構成消防本部の車両動態を管理することで応援体制の迅速化を実現し、消防力の強化に繋がったようです。今後、人口減少・高齢化等の影響による、行財政の課題解決には、地域全体で協力し対応する広域連携の観点が大変重要であり、県と市町村との連携が必要です。 広域連携の一つである消防指令業務の共同運用については、各消防長等で組織される宮崎県域消防指令業務共同運用検討委員会で、これまで検討が行われています。 総務省の消防の広域化の推進期間が令和6年4月までであり、期限が1年を切っており、本県の動向が気になっております。

【質問】

消防指令業務の共同運用化について、検討委員会での検討結果と、今後県としてどのように取り組んでいくのか、危機管理統括監に伺います。

(答)
消防指令業務の共同運用化については、令和元年度から延べ12回の検討委員会が開催されておりますが、県は2回目からオブザーバーとして参加し、整備費用の試算結果等の提供や、財政支援の検討の表明、各消防本部への訪問などにより、意見調整に努めてまいりました。
しかしながら、費用の負担割合や職員の派遣期間などの調整がつかなかったため、今年1月に、検討委員会では、目標としていた令和9年4月からの共同運用開始を断念されております。
県としましては、共同運用化は、消防力の維持や大規模災害への対応など将来にわたる県民の安全・安心な暮らしを守り支える上で非常に重要な取組と考えておりますので、引き続き各消防本部と意見交換を行うとともに議論の後押しをしてまいります。

(4)地域医療の確立について
第7次医療計画では、主に、5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・5事業(へき地医療、救急医療、小児医療、周産期医療、災害医療)及び在宅医療に係る医療提供体制の構築、地域医療構想、医療従事者の確保などについて定められており、来年度には、第8次医療計画が出されることになっています。

①周産期医療について
宮崎県の周産期医療体制は、素晴らしく、厚生労働省の令和2年人口動態統計(確定数)によると周産期死亡率2.5と全国と比較しても低い状況です。私の子供の一人もこの周産期医療体制によって命が助かりました。医療計画の施策の方向性として、総合周産期母子医療センターを中心とした地域分散型の周産期医療体制の維持と充実に努めるとあり、若者の移住定住に向けても期待できます。しかしながら、産婦人科においては、リスクも高く、新規開業の医師も少ない傾向があります。本県の周産期医療体制を継続できるのか心配な点もあります。

【質問】

周産期医療の本県の状況と今後の取組について、福祉保健部長に伺います。

(答)
県では、宮崎大学医学部附属病院を総合周産期母子医療センターとして指定するとともに、県北・県央・県西・県南の4つの周産期医療圏ごとに体制づくりを進めており、各医療圏で中核的な役割を担っている県立病院など6病院を、地域周産期母子医療センターとして認定しております。
これにより、分娩等の重症度に応じ、地域の産科を支援するネットワークが構築され、低リスクの分娩を行うことが可能となっており、本県の周産期死亡率は、全国的にみて低い水準を維持しているところであります。
県としましては、引き続き、宮崎大学や県医師会などの関係機関と連携し、産婦人科医師の育成・確保にも取り組みながら、周産期医療体制の充実に努めてまいります。

②在宅医療の方向性について
  近年、在宅医療に対する認識も新たに広がったように感じています。厚生労働省によると、老衰が死因の第三位ということで年々上昇しており、自宅で看取られたいと考える方も増加傾向にあります。2年前に亡くなった私の祖父も自宅療養を望んでおりました。祖父は希望通り自宅で看取ることができましたが、その祖父を介護していたとき、在宅医療ができるのかなかなかわからなかったという経験をしました。希望通りの人生を迎えるためには、患者本人や家族が在宅医療について知ってお
く必要があると考えます。

【質問】

自宅で看取られたいという高齢者が増えている中、高齢者の在宅医療について県民にもっと知ってもらうことが重要と考えますが、県の取組を福祉保健部長に伺います。

(答)
国民の約7割が自宅で最期を迎えたいと望む一方で本県の在宅死亡率は約3割に留まっていることから、在宅医療の推進を図ることは大変重要と考えております。
このため、県におきましては、県医師会などと連携し在宅医療に従事する医師や看護師等の育成や、入退院時における医療側と介護側の情報共有ルールを定める等の体制整備を図るとともに、県民向けの公開講座の開催やリーフレットの配布など、普及啓発に取り組んでおります。
さらに、昨年度からは、病状の変化に応じて、自らが望む医療やケアについて前もって家族等と話し合うアドバンス・ケア・プランニングの周知にも取り組んでおります。
今後とも、疾病を抱えている高齢者が住み慣れた場所で暮らしながら必要な医療を受けられるよう在宅医療の体制整備や普及啓発に努めてまいります。

③医師確保について
週刊ダイヤモンドによると、医者の大都市志向は年々顕著になっており、医師初期臨床研修マッチング充足率では、54.9%と全国と比較しても低い状況のようです。対応として、宮崎大学医学部では、令和4年度学校推薦型選抜から地域枠が25人から40人に拡充され、また、「県キャリア形成
プログラム」は、オール宮崎体制で、全国と比較しても柔軟性のある素晴らしいものとなっています。そのため、今後の医師確保に向け大きな期待があります。

【質問】

医師確保の現状について、福祉保健部長に伺います。

(答)
県では宮崎大学、県医師会等と連携し、医師修学資金の貸与、若手医師のキャリア形成支援、県外からの医師招へいなどに取り組んでいるところであります。
令和4年度から宮崎大学地域枠が40名に拡充されたことにあわせ、セミナーや交流会の開催など医学生教育の充実を図るとともに地域枠医師の相談サポート体制も強化したところです。
近年、県内で臨床研修を開始する医師は増加傾向にあり、令和5年度の専門研修開始者数も過去最高になるなど県内での医師の養成、定着に向けて徐々に成果が現れているものと考えております。
今後とも関係機関と連携を図りながら、オールみやざきの体制で取り組んでまいります。

④市郡医師会病院の負担金について
都城市郡医師会病院において、高度急性期病床の整備及び心臓・脳血管センター増設計画があり、これは、宮崎県が掲げる地域医療構想における公的医療機関等2025年プランに沿って、高度急性期の機能を拡充させるとともに、南海トラフ地震発生に備え、被災した地域からの人工透析患者等を受け入れ、災害拠点病院として後方支援病院体制を確保するためとなっています。また、圏域の拠点となる二次救急医療施設としての機能を維持し、新型コロナウイルス感染症などについても、重点医療機関として、引き続き当圏域の救急医療を支え、さらには、心臓血管外科の新設により、圏域外へ搬送していた心疾患者の治療を地域で完結させることができ、ドクターヘリや救急車による圏域外への救急搬送を減らすことにつながります。以上により、高度急性期病床の整備と心臓・脳血管センターの増設計画を推進することは、地域住民が安心して暮らせる環境づくりにつながると考えられています。このように都城市群医師会病院は、県西地区において重要な二次医療施設です。運営のために、定住自律圏の中で、利用者数に応じて、各自治体から負担金を徴収していますが、利用しても負担のない自治体もあります。二次医療施設の運営の在り方を県としても考える必要があるのではなでいでしょうか。

【質問】

二次医療体制を支えるために必要な経費を、地域で平等に負担するためには、統一的なルールが必要と考えますが、県の考えを福祉保健部長に伺います。

(答)
救急医療体制は、比較的軽症な患者の受入を担う初期救急、入院が必要な重症患者等の受入を担う第二次救急、生命に危険がある重篤患者の受入を担う第三次救急など、役割を分担して整備を図っております。
本県の第二次救急医療体制は、7つの医療圏でそれぞれ整備されておりますが、拠点病院に対する運営費の支援については、設置主体である自治体が負担したり、人口割や利用者数割によって関係自治体で負担するなど、各圏域の医療事情によって対応が異なっているところです。
限られた医療資源を有効に活用し、誰もが安心して医療を受けられる体制の確保は大変重要でありますが、それを支える費用負担のあり方については、関係自治体間で、地域の実情を踏まえ、調整されるものと考えております。

【提言】
難しい問題ではありますが、県内全域の持続可能な地域医療体制のため、県としても検討することを提言いたします。


(5)地域安全の推進について
地域安全といえば、警察です。社会の変化に伴い、交番の統廃合や日勤制などが行われておりますが、県民の不安解消のために、移動交番などの施策で対応されているところです。その拠点は、警察署になりますが、高岡署や都城署の整備計画が現在進められ、県民の関心が高いところです。とくに都城においては、都城市志布志道路の完成も近づき、利便性の良いところへの移転整備が望まれています。さて、地域安全においても、交通指導員や交通安全協会、見守り隊など多くのボランティア
があります。

①更生保護ボランティア・保護司について
保護司においても高齢化となり手不足がある現状で、現役の公務員が保護司に就任するに当たっては、地方公共団体の理解と協力を得ることが課題となっています。そのため、令和元年、法務省及び総務省は、協力依頼文書を地方公共団体の長宛てに発出し、地方公共団体職員の保護司への就任について協力を求めています。

【質問】

保護司の確保が困難と聞いておりますが、県職員への働きかけも含めて、県としてどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。

(答)
保護司は、犯罪を犯した人の立ち直りを支援するボランティアとして法務大臣が委嘱するものですが、現在、高齢化や担い手の不足が課題と伺っております。
県では令和2年3月に宮崎県再犯防止推進計画を策定し、国の保護司確保の取組に対して普及啓発などの協力を行うこととしており、長年保護司として尽力された方々に対する知事感謝状の授与や、市町村福祉担当者会議の際に、保護司の役割について普及啓発を図るなどの取組を行っているところであります。
今後、国と連携し、保護司など様々な地域貢献活動への参加が期待される県職員への呼びかけも含めて、県民の方への普及啓発を図り、保護司の確保につなげてまいりたいと考えております。

②少年警察ボランティア・少年補導員について
少年警察ボランティアは、街頭活動や青パトによる巡回をしながら、少年の非行防止や健全育成を行っています。しかしながら、近年、少年たちが犯罪や問題にかかわる場面は、SNSが入口となっていることも多くなってきています。そのため、熊本県ではサイバー少年補導員を任命しています。また、鹿児島では、少年補導員の方が、ネットポリス鹿児島という団体を立ち上げ、SNSを活用した青少年の相談・支援をはじめとして講話や研修なども行っているようです。

【質問】

SNS等での非行防止、トラブル防止に関して、県警の取組、少年補導員の取組について、警察本部長に伺います。

(答)
警察では、SNS等でトラブルにあいやすい小・中学生、高校生にインターネット利用上の危険性等を注意喚起するサイバーセキュリティカレッジ等を開催しており、昨年中は、208回、約2万3千人に実施しました。
また、小・中学生の保護者に、SNS安全利用に係るリーフレットを配布するなど、教育委員会や学校と連携し、啓発活動を推進しております。
このほか、SNS上における性被害等につながる書き込みには、警察のサイバーパトロールにより、昨年中、972件の注意喚起を行いました。
さらに、本県の少年補導員2名の方が、公益社団法人全国少年警察ボランティア協会から委嘱を受け、少年に係る不適切な投稿に対するサイバーパトロール活動をしております。

③特殊詐欺について
去年県内で確認された特殊詐欺による被害は52件で被害総額は約1億3600万円とありました。今年もすでに18件の詐欺被害が確認されていて、被害総額は約1億円で被害者のおよそ7割が65歳以上の高齢者のようです。コンビニ従業員が特殊詐欺に気づいた事例がニュースになっていますが、第3者が気付いて、詐欺被害を未然に防いだ件数は、4月末時点で22件とのことです。宮崎南警察署は、宮崎市清武町の2つの高齢者クラブを詐欺被害防止推進モデル地区に指定され、地域での活動・交流を通して詐欺の未然防止を呼びかけがおこなわれるようです。しかしながら、先日50代の知人が詐欺にあったようです。若い方に向けた取組も必要かと思います。

【質問】

高齢者以外の特殊詐欺の被害状況と抑止対策について、警察本部長に伺います。

(答)
高齢者以外の特殊詐欺被害は、令和元年が8件、令和2年が3件であったものが、令和4年は23件発生し、増加傾向にあります。
このうち、手口の大半は、パソコンのウイルス除去費用、有料サイト利用料等を名目に支払うべき料金があるとかたってだます架空料金請求詐欺で、23件中、19件・約900万円の被害が発生しました。
このような状況を踏まえ、
 防犯メール、地元テレビ局アプリ等を活用し、だましの手口を含めたタイムリーな情報発信
 県内で実際にかかってきた電話音声のホームページ上での公開
 携帯電話販売事業者と連携した顧客への注意喚起
などの抑止対策を推進しております。

【提言】
 先日、鹿児島県内の複数の高校生が電子決済サービスを使い、詐欺を行ったニュースもありました。被害者・加害者どちらにもならないよう、抑止対策に取り組むことを提言いたします。

(6)地域活動を担う人材の確保について
平成26年に、総務省は、少子高齢化や人口減少の影響により、地域の諸活動を担う人材不足が懸念されているため、地域の担い手となる人材を確保し、その育成に努めていくため、地域の担い手創造事業というものを行ったようです。しかしながら、人材不足という課題は解決に至っていないようです。

①民生委員児童委員の負担軽減について
地域活動の一つに民生委員児童委員があります。民生委員児童委員は、知事の推薦によって厚生労働大臣から委嘱され、一人暮らしの見守りや生活に関する相談、災害時における役割があります。知事には民生委員法上、民生委員を研修する責務があるとされ、2000年の法改正の際には、民生委員の在り方を見直す必要性について指摘がありました。そのような中、地域へのつながりの希薄化、住民の直面する課題の複雑化・多様化に伴い、欠員率も増加しており、負担軽減への対応が求められております。

【質問】

民生委員児童委員の負担軽減のために県がどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。

(答)
民生委員・児童委員は、地域の見守りや住民の身近な相談役として重要な役割を担っていただいておりますが、福祉的課題が多様化・複雑化する中、活動に負担を感じている方も少なくないと伺っております。
このため県では、委員の方への支援として、研修の実施や活動経費の一部負担、参考書籍等の活動資材提供などに取り組んでおります。
また、一部市町村では、社会福祉協議会が委員活動を補助する福祉協力員等を配置しているほか、見守りや住民からの相談対応を行う地域のボランティア活動により委員の負担軽減につながっている取組もあります。
今後とも、これらの優良事例の紹介や各種支援の実施など、市町村等と連携して委員の負担軽減に取り組んでまいります。


②移住定住への条件について
自治会加入率の減少により、青年団や壮年会、婦人会も減少しています。それに伴い、民生委員児童委員、保護司、少年補導委員、消防団など様々な地域活動の担い手も不足している現状があります。そのような活動を担っている方は、自治会活動をされていた方が多かったですが、今、担い手が不足しています。このままでは、10年後はさらに不足することが推測できます。現在、本県も移住定住の事業を推進し、力を入れており、地域からは、地域活力に繋がる期待もあります。

【質問】

移住定住の事業を推進しておりますが、移住者等に地域活動を促すような取り組みができないか、総合政策部長に伺います。

(答)
移住者が地域の一員として、地元の活動に携わっていくためには、まずは、地域の方々と十分にコミュニケーションを取り、相互に理解を深めていくことが重要であります。
このため県におきましては、移住者がいち早く地域に溶け込むことができるよう、暮らしに関する不安や悩みを相談できる移住サポーターの設置や地域住民との交流会を開催する市町村を支援しているところであります。
こうした中、例えば、地域おこし協力隊員の中には、任期終了後も地域に定着し、地域の方々と一緒になって伝統行事や地域活動を行うケースもあります。
人口減少が進む地域にとって、移住者は大きな力となり得ることから、今後とも、定着に向けた支援を行ってまいります。

【提言】
宅建協会や不動産協会と加入促進に向けて協定を結んでいる自治体もあります。移住者は大きな力となりますので、宅建や不動産協会との連携を提言いたします。

③ボランティアポイント制度について
 「安全・安心のくらしづくり」のためには、広域連携や民間との協定が必要です。また、民生委員をはじめ、多くの地域活動の担い手が必要です。これは各自治体や各団体だけの問題ではなく、県内全域で人材不足の問題があります。地域別や縦割りで行われている人材確保を県が先頭にたって広域的な視点でスキームの開発を行うべきではないかと考えます。介護の分野では、ボランティアポイント制度というものがあります。主体は市町村で、ポイントは現金や地域通貨と交換可能です。活動として、公民館での活動や生きがいづくり活動の場で行ったボランティアに対してポイントが付与されるようです。例えば加古川市では「かこがわウェルピーポイント制度」として、市が指定する社会貢献活動や地域活動等に参加した場合にポイントが付与され、貯めたポイントを学校園への寄附のほか、ポイント加盟店の商品との交換、ポイント加盟店でお会計時に1ポイントが1円として利用ができるようです。シニア活動だけでなく、PTA活動や放課後子ども教室など幅広く使えるようです。デジタル化に伴いマイナンバーカードも普及して今後の活用が期待されています。そこで、社会貢献活動や地域活動などボランティアを行っている方々を幅広く対象としたポイント制度があれば、意識づけになるのではないかと考えます。

【質問】

ボランティア人材確保のため、県内で幅広く使えるボランティアポイント制度の取組はできないのか、総合政策部長に伺います。

(答)
ボランティアポイント制度につきましては、ボランティア活動への関心を高めるきっかけとして効果があるものとして期待されており、県内の市町村においても、まちづくり活動や介護支援ボランティア活動への参加の促進を目的として取組が進められております。
一方で、ポイントが付与される地域活動等とポイントの対象とならない活動との間で不公平感が生じたり、報酬を得ることのみが目的化しないかといった懸念も指摘されております。
県としましては、県内外の優良事例について情報提供を行うなど、引き続き、市町村と連携してボランティアの活動促進の取組を進めてまいります。

④地域活動の担い手の確保について
今回、広域連携や地域間連携、民間との連携など連携の必要性や、共助のために様々な分野で社会貢献されたり地域活動をされたりしている方々の課題を一部問題提起させてもらいました。それらに共通してある問題が担い手不足です。公的な意味合いを持つ、地域活動の担い手の確保は重要な課題であると考えます。市町村の自治体任せや、各団体任せの現在の状況を続けていれば、10年後さらに減少し、組織としても成り立たない状況になることが推測されます。

【質問】

地域で社会貢献を行うボランティア人材の確保に、どのように取り組んでいくのか知事に伺います。

(答)
社会経済情勢の変化により人々の意識が多様化する中、様々な地域課題が顕在化してきており、これらの地域課題に的確に対応するためには、ボランティアを含む多様な主体との協働が必要であり、その協働の担い手となるボランティア人材の育成確保は極めて重要であると考えております。
このため、県では、ボランティア基金を造成し、県社会福祉協議会と連携しながら、ホームページでボランティア団体の活動状況を発信するとともに、毎年7月から9月を「ボランティア体験月間」に設定し、中高生による福祉施設での介護体験などのボランティア体験事業や市町村が行う人材育成講座への支援を行っております。
県としましては、引き続き、このような取組の充実・強化を図り、一人ひとりが生き生きと活躍できる社会を目指して市町村や関係機関とも連携しながら、ボランティア人材の育成確保に取り組んでまいります。

【提言】
本日は、安全安心のくらしづくりをテーマに広域連携や共助に関する質問をしました。
 地域には、病院や消防署、警察署、道の駅など、安全安心のための拠点施設があります。安全安心のくらしのためには、地域間連携や自治体間連携、民間との連携など広く連携していく必要があります。
 また、消防団や民生委員児童委員をはじめ、自治会を中心とした様々な民主団体が地域活動や社会貢献活動を行っております。
安全安心のくらしを持続可能なものにしていくには、これらの公共的な役割の大きい担い手の確保が重要であると考えます。各部署に横ぐしを指すとともに、県と市町村の壁を取り払い、しっかりと連携して、担い手確保に取り組むよう提言して、すべての質問を終わります。

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