地域振興~周産期医療と出産支援~
2021年3月議会
(1)周産期医療
(2)コロナ禍における出産支援
(3)産後ケアや1歳6ヵ月児健診や3歳児健診の状況
(4)マイ助産師制度
【背景】
宮崎県はかつて,周産期死亡率が全国ワーストでしたが,本市では県西地区の地域周産期母子医療センターである都城医療センターを中心に,市内の産科医療施設が分娩時医療情報ネットワークシステムを構築し,全国トップクラスの医療体制で,本市の母子の命を守っております。我が子も1人早産となりましたが,この医療体制により無事に育っているところです。安心して出産できる環境は非常にありがたいと考えます。
(1)周産期医療について
【質問】 先ほど少し触れましたが,本市には素晴らしい周産期医療体制があるところです。すべてを説明することは難しいと考えますが,本市の周産期医療の確認をさせていただきたいと思います。
質問します。本市の周産期医療の体制はどのようになっているのでしょうか。
【答弁】
本市の周産期医療は,産科医療施設及び助産院の妊産婦や胎児の情報を,分娩時医療情報ネットワークシステムによりリアルタイムで独立行政法人国立病院機構都城医療センターと共有し,互いに連絡・相談を行い,迅速な判断や緊急時の搬送など連携体制が構築されております。また,出産に携わる医師や助産師などの医療従事者は,自発的に講習会を開催し,医療処置などについて検証・研究を重ね,知識や技術を共有しながら本市の周産期医療を支えております。
【質問】
産科医療施設と連携しており,母子が急変した場合は,救急搬送で都城医療センターへ搬送されることがあります。その体制により,救われた命も多いことと考えます。
質問します。直近5年間の妊婦さんの都城医療センターへの搬送状況はどのようになっているのでしょうか。
【答弁】
都城市消防局管轄内の医療施設から,独立行政法人国立病院機構都城医療センターへの妊産婦の転院搬送件数は,平成28年95件,平成29年112件,平成30年95件,令和元年107件,令和2年95件であります。
【質問】
2次医療,3次医療体制により,周産期死亡率も過去と比較して減少していることと考えます。
質問します。周産期死亡率はどうなっているのでしょうか。
【答弁】
周産期死亡率は,年間の周産期死産数に早期新生児死亡数を加えたものを,出生数に周産期死産数を加えたもので割って,1000を乗じたものです。なお,平成7年に周産期死産の範囲が,「妊娠満28週以後の死産」から「妊娠満22週以後の死産」に改正され,算出方法も「出生千対の率」から「出産千対の率」に改正されております。県の周産期死亡率が全国最高値となった平成6年は,改正前の周産期死亡率になりますが,全国の5.0に対し,県が7.5で,本市は8.8でございました。全国最低値となった平成16年は,全国の5.0に対し,県が3.1で本市は3.0でございました。そして,直近となる平成30年の県衛生統計年報では,全国の周産期死亡率3.3に対し,県が2.6で,本市は更に低い2.2となっております。
【提言】
搬送状況と周産期死亡率から、本市は安心して産むことができる体制であることが分かります。
(2)次にコロナ禍における出産支援について
【質問】
コロナ禍における出産については,不安を抱えている方も多くいることろです。感染予防のために,立会分娩や面会等を制限している医療施設もあるようです。厚生労働省は,出産等に不安を抱える妊産婦への支援の1つとして,心のケアを含めたよりきめ細やかな支援が必要とし,市町村に対して,医療機関や保健所等の関係機関と十分連携し,妊産婦の心身の状況等を把握した上で,電話等による相談支援を行うなど,妊産婦の不安の解消に努めていただきたいと通知をだしております。
質問します。本市で行われている支援にはどのようなものがあるのでしょうか。
【答弁】
本市では,平成30年度から,都城保健センターに助産師の資格を持つ母子保健コーディネーターを2名配置し,妊産婦が抱える様々な悩みに対応しております。また,支援が必要な妊産婦をサポートするため,市と市内産婦人科医療機関で組織する養育支援連絡会で状況共有し,連携した支援体制を構築しております。コロナ禍においても,感染防止対策に努めながら,出産前のパパママ教室,出産後の赤ちゃん広場,産後の心身のケアや一句時のサポートを行う産後ケア事業を行うとともに,助産師等の資格を持つ母子訪問指導員等による訪問指導も実施しております。その他,コロナ禍で外出自粛が続いていた昨年5月の連休中には,電話による子育て相談窓口を開設しました。また,離乳食の作り方や赤ちゃんの沐浴方法の動画を市ホームページに掲載するなど,妊産婦の子育てに関する不安の軽減に努めております。
【質問】
本市も移住定住を推進している状況ですが,コロナ禍の中,市外,県外への里帰り出産が厳しい現状があるようです。日本産婦人科学会や日本産婦人科医会も現在の居住区地での出産を進めております。首都圏などの大都市と比較し,新型コロナウィルスへの感染者数が少ない本市での出産の方が感染リスクが少ない状況にあります。しかし,親に頼れない状況での出産に不安を覚える方もいます。上の子の育児や家事の負担が少しでも軽くなって欲しかったという声がありました。
質問します。市外への里帰り出産ができない方への育児等支援としてどのようなことをしているのでしょうか。
【答弁】
本市では,育児疲れ等により子どもの保育が困難となった場合に,一時的に預かる制度として,ファミリー・サポート・センター事業や一時預かり事業,子育て短期支援事業を利用できます。出産前後に養育中の子どもを預かることで,育児等の負担を軽減し,安心して出産に臨んでいただけるものと考えております。また,民間団体が実施しているホームスタートは,育児経験者が家庭を訪問し,一緒に家事・子育てを行ったり,母親の話を傾聴したりするボランティア活動であり,妊婦への訪問も行っております。これらの制度は,里帰り出産ができない場合に限らず,支援を必要とする人は利用できるものであり,随時,窓口等で相談受付や説明を行っております。
(3)産後ケアや1歳6ヵ月児健診や3歳児健診の状況について
【質問】
緊急事態宣言等により,外出自粛や施設の休館等があり,1歳6ヵ月健診や3歳健診ができなかった状況があるようです。
質問します。検診等ができていない状況はどのくらいあるのでしょうか。
【答弁】
本市では,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,令和2年3月から5月までの期間及び,令和3年1月の検診は実施しておりません。実施しない期間があったことや,1回当たりの受診人数を制限して実施していることから,本来の対象月齢からすると3ヶ月から4ヶ月遅れで案内している状況です。
【質問】
質問します。今後,どのように対応するのでしょうか。
【答弁】
厚生労働省からは,感染の状況を踏まえた上で,各健診の対象月齢を超過して受診しても差し支えないとの通知がありました。本市では,本来の対象月齢で,安心,安全に受診できるよう,小児科医,歯科医の協力の下,感染防止対策に努めつつ,来年度は検診の実施回数を増やす計画にしております。
【質問】
本市では産婦健康診査を実施しており,出産後間もない時期の産婦に対する健康審査の費用を助成しています。検診の結果,支援が必要と認められる産婦に対して,助産師等による訪問相談支援(産後ケア事業)を実施しているようです。
質問します。産後ケアの体制や対象者はどのようになっているのでしょうか。
【答弁】
現在の産後ケア事業では,母子訪問指導員等が,産婦の自宅に訪問し,指導助言を行っております。対象者は,双子や三つ子などの多胎児,若年及び高齢での初産,未熟児,産後うつスケール高得点者等の支援が必要な産婦です。さらに来年度からは,宿泊場所や食事の提供を受けながら,育児の技術を習得できるショートスティや,グループワークなどを通した子育て仲間をつくることができるディサービスなどの事業メニューの拡充を予定しております。
【質問】
産後ケアの範囲を広げて欲しいとの声があります。。
質問します。対象範囲を広げることはできないのでしょうか。
【答弁】
産後ケア事業は,母親の身体的回復と心理的な安定を促進するとともに,母親自身がセルフケア能力を育み,母子の愛着形成を促すものです。また,対象者は,母子保健法に基づき,産後に心身の不調又は,育児不安等がある者や,特に支援が必要と認められる者と定められております。ただし,産婦が育児等の不安を相談したい場合は,母子訪問指導員等による指導助言を受けられます。
(4)マイ助産師制度について
【質問】
兵庫県丹波篠山市は,1人の助産師が継続して妊産婦に寄り添い続ける「My助産師制度」について,「My助産師ケアセンター」を昨年8月に立ち上げております。お産の先進国ニュージーランドの制度を参考にした取組で,日本では初となる取組のようです。計画では,母子健康手帳を公布した全ての妊産婦担当助産師がつき,出産場所やリスクに関係なく,交付時の初回相談,妊娠中期と後期に1回ずつの産前ケア(保健指導),産後2週間から1ヶ月ごろの産後ケアと赤ちゃん訪問の最低4回,訪問や電話,来所などで妊産婦と関わるようです。My助産師は分娩に関わらないが,信頼関係を構築しながら,産前産後の体調管理や食べ物・運動を通した安産に向けての体づくり,メンタル面のケアなど,時間をかけてあらゆる相談に乗ることで「切れ目のない支援」の提供を行うようです。不安の解消や異常の早期発見,前向きな気持ちでの出産に導き,必要に応じて病院とも連携します。また,おっぱいや授乳,思春期や更年期など,女性全般の相談にも応じるようです。
質問します。マイ助産師制度を創設する考えはないのでしょうか
【答弁】
都城市保健センターは,母子保健コーディネーターを配置しており,子育て世代包括支援センターの機能を有しております。具体的には,医療機関との連携による妊産婦等の情報共有や妊娠・出産・子育て期に関する各種相談への対応を行っております。また,本市では,保健師が地区担当制をとることにより,妊産婦の継続的な見守りを行っておりますので,現時点では,マイ助産師制度を導入する予定はございません。今後も安心して子育てができきるよう切れ目ない支援を行ってまいります。
【提言】
ショートステイやデイサービスの実施、一時預かり予約システムの導入は,有難く、本市は切れ目ない支援を行っていることは理解しております。しましながら、助産師の活躍の場の創出や、他市が実施していないからこそ対外的PRや移住定住に繋がるため、マイ助産師制度について調査研究することを提言します。