教育問題~プログラミング教育~

2019年6月議会

(1)2020年度新学習指導要領

(2)プログラミング教育の内容と課題

(3)プログラミング教育の導入向けて

(4)教員のパソコン支給

【背景】

2020年度に学習指導要領が改訂されます。学校で学んだことが,明日,そして将来につながるように,子どもの学びが進化するそうです。この改訂には,これからの社会が,どんなに変化して予測困難になっても,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,判断して行動し,それぞれに思い描く幸せを実現して欲しいという願いが込められています。「生きる力」を育むために,「主体的・対話的で深い学び」の視点から何を学ぶかだけでなくどのように学ぶかも重視して授業を改善する。また,「カリキュラム・マネジメント」を確立して,教育活動の質を向上させ,学習の効果の最大化を図る。とあります。その結果,学びに向かう力・人間性,知識及び技能,思考力・判断力・表現力の力をバランスよく育むとあります。

(1)2020年度新学習指導要領について

【質問】

外国語教育やプログラミング教育が始まるという話を,最近よく耳にするようになりました。書店や塾などでもこれらの言葉を目にします。

質問します。では,新学習指導要領になり,実際にどのように変わっていくのでしょうか。都城市が新たに取り組むこと,これからも重視することは何でしょうか?

【答弁】

令和2年度の小学校新学習指導要領全面実施に向け,都城市が新たに取り組むことは,「社会に開かれた教育課程」のための「カリキュラム・マネジメント」をしていき,「主体的・対話的で深い学び」を子どもたちに提供することである。これらの柱に加え,プログラミング教育の導入,外国語教育の充実,伝統文化に関する教育の充実,消費者教育・主権者教育の推進など,新たに取り組む内容があります。また,重視するものとして,外国語教育,道徳教育,読解力の育成,理数教育,特別支援教育などの数多くの内容があると考えています。

(2)プログラミング教育の内容と課題について

【質問】

外国語に関しては,先行実施され,どのようになっていくのか,見えている部分があるのですが,プログラミング教育についてはなかなか見えてきません。プログラミング教育では,プログラミング的思考を育み,論理的思考力の育成を目指すとあります。では,プログラミング的思考とは,自分が意図する一連の活動を実現するために,どのような動きの組み合わせが必要なのかといったことを論理的に考えていく力となっています。三重県鈴鹿市では,モデル校を作り,ペッパー君を3台導入したり,レゴを活用したりし,子どもたちがパソコンを使用して,プログラミングを行い,実際に目に見える形で実感できるように授業を行っています。私自身,プログラミング言語として,基本となるパスカル,メインであるC言語,Webページ用のHTML,人工知能専用のPrologなど10種以上の言語を扱っていましたが,プログラミング思考を身に着けさせるには,プログラミングを行う事が一番適切ではないかと考えるところです。

質問します。本市で行うプログラミング教育の内容はどうなっているのでしょうか。

【答弁】

小学校でのプログラミング教育は,端的に言えば,すでに中学校の技術・家庭で行われているプログラミング教育に備えるための体験であります。最低限やらなければならないところとして,新学習指導要領では,5年生の算数と6年生の理科,そして総合的な学習の時間に例示されています。つまり,年間で数時間の体験であるため,これだけで何かの力を伸ばすというのは,難しいということです。そこで,出てきた考え方が「プログラミング的思考」です。プログラミング体験を足がかりにして,各教科の中で順次処理や繰り返し,条件分岐などの思考を見出していく授業を行う事によって,各教科内容の理解の深まりがすすむという考え方です。具体的には,算数の問題で「正三角形」描けという問題があるとき,これまでは,直線の上に,コンパスで同じ長さの交点を取り,三辺の長さが等しい三角形を描いていた。これをプログラミングの活用で考えると,「ペンを下ろす」「5センチ進む」「左に120度曲がる」といった命令の繰り返しで,正三角形を描けるということになる。本市においては,この新学習指導要領に基づいて,プログラミング教育を実施していくことになります。

【質問】

質問します。実施する上での課題としてどのようなことを考えているのでしょうか?

【答弁】

実施上の課題は,教員に「プログラミング的思考」をどう意識してもらい,指導するかということであります。そのため,文部科学省は,「小学校プログラミング教育の手引き」を出し,ホームページ上に公開しています。これらを活用して,研修を深める必要があると考えています。

【提言】

文系出身の教員にとっては,このプログラミング的思考を指導することは負担が大きいものになるかと思いますが,研修を深めていただきたいと考えます。プログラミング的思考を養うためには,自分の命令が正しいかを検証する作業ができる環境なければいけないと考えます。プログラミング体験を足がかりにするということですので,全ての学校で,その体験ができるよう環境整備を行うよう提言します。

(3)プログラミング教育の導入向けて

【質問】

質問します。導入に向けてどのような準備をしているのでしょうか。

【答弁】

本市では,教員を対象としたプログラミング教育のセミナーを昨年度に引き続き本年度も実施予定です。また,タブレットPCや無線LANを導入した8校及び情報教育に長けた教諭等を中心に,「ICT活用推進委員会」を組織し,情報教育の推進を図っています。今年度は,その委員会の中に「プログラミング教育班」を設けて,プログラミング教育の導入に向けての準備を進めていく予定です。なお,本年度より県の教育研修セターにおいて,県内全ての小学校の情報教育担当者を対象としたプログラミング教育の研修も実施されています。これらの研修会に参加した教員が,それぞれの学校で研修内容を校内に広めていくようにしています。

【提言】

高校で,学区制が廃止された頃,普通教科「情報」が始まりました。そのころ大宮高校で「情報」を担当しました。生徒の知識や技能に疑問を持ったため,400名の生徒にアンケートをとったのですが,習熟度がバラバラで,授業がほぼなかったという学校もありました。そこで,高校の普通教科情報の部会を立上げ,大宮高校で事務局を担当しました。問題解決能力を育てるために,モラルはもちろん,道具としてのタッチメソッド,表計算力,レポート力,プレゼン力をつける授業を徹底的にしました。その成果を生徒自身に情報部会でプレゼンしてもらい,共有化を図ったところです。調べて,まとめて,発表する。その中で,モラルや知識,ソフトの技能などを身に着けさせる形は,「探求」という科目へとなりました。個々の力で終わるのではなく,チームとして指導のやり方を共有することが,教育の質やレベルが一定になると考えられます。また,家庭環境によって,差があってはならないと考えます。ノートパソコンを3台,生徒に貸し出しができるように個人で購入したこともありました。今回も学校設備や教員の力量,家庭環境での差で教育格差が起こるのではと危惧しているところです。格差が起こることのない対応をしていただきたいと考えます。

(4)教員のパソコン支給について

【質問】

タブレットが導入され,プログラミング教育が始まろうとしています。学習の効果の最大化を図るためには,まずは,教職員のICT環境の充実が先ではないかと考えます。

質問します。教員のパソコン支給状況はどのようになっているのでしょうか?

【答弁】

教員のパソコンについては,平成26年度末で一人当たり1台の整備が完了している。それ以降については,年次計画的に更新等を行っており,今年度もOSのバージョンアップと更新を予定しています。

【提言】

現場の先生方に話を伺うと,使用するときに毎回記録簿に記入し,ロッカーから出して,セットしてログインしてという手間をかけなければならない現状があり,短い休み時間で使用するには,かなり不便であるようです。また,先ほどの答弁でありましたように校内LANの整備は8校で,その8校以外については現在,予算化されていない状況のようです。セキュリティの課題もありますが,先生方のそれぞれの机でパソコンを使用できる環境が整っていないと聞いています。タブレットの導入が進んでも,その能力を十分に発揮できる環境がなければ,パソコンはただの箱なのです。県立学校では,パソコンを学校現場で使用するようになったとき,理系出身のパソコンに詳しい先生もおり,各学校それぞれで,設定を行ったりした経緯があります。現在の小中学校の校内LAN環境は,県立学校と比較してかなり遅れている状況ではないでしょうか。タブレットを使用した学習やプログラミング教育の充実を図るためにも,まずは,LAN整備や教職員の環境整備を進めていくよう提言いたします。

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