障がい者の福祉支援~自殺対策~

2018年6月議会

(1)障がい者の状況

(2)相談場所の取組

(3)A型及びB型事業所の状況

(4)精神障がい者の支援の状況

(5)支援者へのサポート

(6)今後の精神障がい者へいの支援

(7)自殺の現状

(8)自殺対策

【背景】

自殺者数は年々減少の傾向にあるが,交通事故死者数より多く,平成28年度の自殺者数は厚生労働省の自殺対策白書によると2万1897人と依然高い状況にある。宮崎県は平成27年度までワースト5に入る状況である。自殺は遠いものではなく,意外と身近な問題でもある。そして,40歳未満の死因の1位が自殺で,自殺の理由の1位が健康問題となっている。現在日本はストレス社会とも言われ,平成23年度から精神科通院者は320万人を超え,5大疾患に仲間入りしている。平成24年度末の宮崎県における障がい者の状況としては,身体障がい者は6万5388人,人口千人当たり58人。知的障がい者は,1万179人で人口千人当たり9人。精神障がい者は5713人で人口千人当たり5人。重症心身障がい児は406人。難病患者は8674人で人口千人当たり8人。また,発達障がい者に関しては,県は正確に把握していないようだが,文部科学省の全国調査によると6.5%の児童が特別な支援を要する状態となっている。子どもから高齢者まで100人集めると15人が障がい者の状況である。

(1)障がい者の状況について

【質問】

質問します。都城市の障がい者の人数はどのようになっているのか。

【答弁】

本市に於ける障がい者の方の数ですが,各種手帳の所持者数でお答えしますと本年4月1日現在,身体障がい者手帳保有者9667人,療育手帳保有者1791人,精神障がい者保健福祉手帳保有者1001人,また,保健所より特定医療費(指定難病)受給者証を交付されている難病患者は平成29年度当初で1439人となっております。

【質問】

第4期都城市障がい福祉計画において数値目標が設定されている。施設入所者の地域生活への移行状況,福祉施設から一般就労への移行などの項目がある。

質問します。障がい福祉計画の達成度はどのようになっているのか。

【答弁】

第4期都城市障がい福祉計画」の達成度につきまして,まず「施設入所者の地域生活への移行」は,平成26年度末の施設入所者数228名に対し平成29年度末で6名減の222名の目標を掲げておりました。実際は233名と平成26年度末より5名の増加となり,地域生活への移行は容易には進んでおりません。また「福祉施設から一般就労への移行」ですが,こちらは平成29年度中に10名の目標を掲げていたところですが,31名移行しており,目標を大幅に達成しているところです。

(2)相談場所などの取り組みについて

【質問】

福祉サービスを受給するための手続きは複雑で,福祉課で「しおり」をもらっても,コミュニケーション障がい者にとっては言語化が難しいため,全く理解できないとの意見がある。

質問します。窓口での対応において,気をつけていることはあるのか。

【答弁】

窓口での対応につきましては,コミュニケーションに支障のある方々に対しては,例えば聴覚障害の方へ手話通訳ができる職員を配置したり,ホワイトボードを使用しております。また,周囲が気になる方については,個室での対応をするなど,それぞれの障がいの特性にあった対応を心がけています。途中で説明の内容を理解されているか確認するなど,わかりやすい説明に努めております。「障がい者のしおり」につきましては,各種サービスの説明を補完するものとして配布しております。

【質問】

都城市では,日中居場所支援事業や地域活動支援センターが精神障がい者への居場所を提供していると伺っています。平日の9時から17時の開設で土日の週末は閉設しており,山之口,高城,高崎,山田地区では月1回開設しているようです。利用することで,生活習慣の獲得や使えるサービスの理解ができ,何より同じ境遇にさらされてきた仲間を知ることで孤独感がうすらぐようである。しかしながら,夕方から夜の孤独感や不安により悪化する時間帯には相談する場所がないときく。

質問します。相談場所の取組状況はどのようになっているのか。

【答弁】

お答えします。本市では精神障がいの方への日中の居場所を提供する事業として「障がい者等日中活動支援事業」や「地域活動支援センターⅠ型事業」を実施しており,相談も対応しています。他に県精神保健福祉センターの「こころの電話」や都城保健所の「こころの健康相談事業」でも日中は対応しております。しかしながら精神障がい者の方が夜間に不安が起こり,傾聴・対応することを目的とした相談窓口につきましては,現時点では設置されていないところです。

(3)A型及びB型事業所の状況について

【質問】

障がい者の就労支援には,障害者が働きながら技能を身に付ける「就労継続支援A型事業所」と雇用契約に基づく就労が困難な障害者の授産的な活動に工賃を支払う「B型事業所」があります。都城において,ハローワーク募集ではA型事業所は多くあるが,B型事業所の数が少ないと聞いた。

質問します。B型事業所の数はどれくらいか。

【答弁】

都城管内の就労継続支援B型事業所は,本年4月1日現在で,17事業所あります。一方で,就労継続支援A型事業所は7事業所です。就労継続支援B型事業所の方が数が多いのが現状ですが,本市の第5期障がい福祉計画では,就労継続支援B型事業所の利用者数は増加を見込んでいるため,就労継続支援B型事業所の指定を行う県と連絡調整をとっていきます。

【質問】

質問します。B型事業所を利用する場合はどのようにすればよいのか。

【答弁】

就労継続支援B型の利用については,利用希望者の相談・申請を福祉課・各総合支所市民生活課で受け付けます。相談支援事業所による福祉サービスの利用計画案の策定と並行して,利用希望者の心身の状況や生活環境などについての調査を行います。その調査内容と福祉サービスの利用計画案の利用日数等が適当か審査した後に利用の決定を行います。

【質問】

質問します。都城のA型事業所の破産状況はどのようになっているのか。

【答弁】

都城管内の就労継続支援A型事業所は,29年度当初で9事業ありましたが,2事業所が閉鎖され,本年度当初は7事業所と減少しています。これは,複数の事業所をもつ法人が就労継続支援A型事業所のみ閉鎖したもので,利用者にはその後,適切なサービスの提供が行われています。

(4)精神障がい者に対する支援の状況について

【質問】

精神障がい者を支援されている方に話を伺ったところ,都城市という土地柄では,精神的に病むことを恥という風潮がある。この社会的軋轢が症状を深刻化させ,精神障がい者にならざるを得なかった環境があるとのことです。国は障がい者総合支援法や,孤立や孤立死を防ぐ活動を「我が事丸ごとの地域づくり」として展開している。しかし,その制度を知らない方も多く,生きづらさを抱えている方や引きこもっている中年の子を持つ高齢の親からの相談が多く寄せられているときいた。相談支援事業所は増えているがその門をたたけずにいる現状がある。

質問します。精神障がい者に対する支援内容はどうなっているか。

【答弁】

精神障がい者やその家族などからの相談については,窓口,電話,訪問にて対応しております。福祉課に保健師の資格を持った2名の正職員及び精神保健福祉士の資格を持った2名の嘱託職員を配置し,コミュニケーションが苦手な方や,手続きなどの理解が難しい方などに対して,障がいの状態に配慮した対応を行っております。周囲に知られたくない,どこに相談してよいかわからない等の声も聞かれるため,様々な相談機関を掲載した「相談窓口カード」の配布や,地域での健康講座等の機会を活用した相談機関の周知を行っております。

【質問】

居場所では娯楽優先で自助力を高める会合などが少ないと現場から聞きいた。

質問します。自助力を高める支援は何をされているのか。

【答弁】

精神障がい者の居場所支援として,障がい者等日中活動支援事業と,都城市地域活動支援センターⅠ型事業を行っています。この事業は様々な方が利用していまして,自宅に閉じこもりがちな障がい者の方には,家を出て日中活動の場を提供するサロンとしての役割を担っています。さらに,次の段階として日常生活に役立つ技術の学習として調理実習や園芸,健康講話などを行っています。また,生活訓練として,公共交通機関の利用や社会見学等を行う社会生活技能訓練を取り入れています。

【質問】

精神薬は運転に危険性があるため,免許返納者が多い状況である。そのため,交通手段はバスや高齢の親の送迎,自転車,徒歩です。バスは障がい者手帳提示で5割免除されるようですが,鹿児島県は全額免除だそうです。問題なのは,補助額ではなく乗り降りの仕方がわからないため利用をためらう方もいる。

質問します。交通手段の支援としてどのようなことをされているのか。

【答弁】

障がい者の方が一人で公共交通機関を利用するのが不安な場合は,「行動援護」というサービスがあります。「行動援護」とは,精神障がい者や知的障がい者が外出の際に起こり得る危険を回避するための援護を行うものです。さらに,一般の公共交通機関の利用が困難な方には「福祉有償運送事業」がございます。身体障がい者手帳2級以上を所持している方,要介護認定3以上の方のほかに療育手帳を所持している方や精神保健福祉手帳所持,または診断を受けている方で一般の旅客運送によることでの移動が困難な方等が対象となっております。

(5)支援者へのサポートについて

【質問】

ピアサポーターの活動は養成機関がなく,あるいは簡略で,ピアサポーターが根付かないという現場の声がある。

質問します。ピアサポーターの現状はどうなっているか。

【答弁】

ピアサポートとは,同じ問題や環境にある人が,対等な関係性の仲間で支え合うことを意味し,障がい者支援においては,障がい者であるピアサポーターが仲間の障がい者を相談等で支援するということになります。障がい者等日中活動支援事業では,1名のピアサポーターが,また,地域活動支援センターⅠ型事業では,3名のピアサポーターが活動しています。これらのピアサポーターは地域活動支援センターⅠ型事業において,地域ボランティアとして通所しながら養成されたものです。具体的な活動内容としては,利用者の悩み・心配ごとへの相談対応,ピアサポーターの普及啓発活動,講演活動などがあります。また,地域活動支援センターでは,ピアサポーターへ気軽に相談できる機会として「ほろめきお話会」を定期的に開催しています。それぞれのピアサポーターが仲間の支援のために熱心に活動していますが,ピアサポーター自身も障がい者であるため,体調面・精神面への配慮,また仲間を支援する立場であるという責任感が過大な負担とならないような配慮が不可欠であると考えます。今後はその点に特に留意し,より多くのピアサポーターが安心して活動していけるよう,地域活動支援センターⅠ型事業においての養成や活動支援をより充実させていきたいと考えます。

【質問】

症状が悪い仲間がいると負の連鎖になり外出できなくなる。専門性のある方の調整や助言が欲しいが専門性を持った職員は人数が少なく,外出支援などで手薄であると聞いている。

質問します。精神科を専門とするスタッフの状況はどうなっているか。

【答弁】

障がい者等日中活動支援事業では,精神科勤務経験のある看護師1名が従事しており,地域活動支援センターⅠ型事業では精神保健福祉士4名が従事しております。利用者の日常生活の困りごとへの相談対応や,就労を含めた自立に向けての支援,医療・福祉及び地域の社会基盤との連携調整などを行っています。また,ピアサポーターの活動を見守り,一人で抱え込むことにならないよう,専門的な立場から助言を行っています。

(6)今後の精神障がい者へいの支援について

【質問】

質問します。今後の精神障害者への支援についてどう考えているか。

【答弁】

精神障がい者の日常生活及び社会生活の自立に向けた支援として実施しております,障がい者等日中活動支援事業と,地域活動センターⅠ型事業のさらなる機能強化が必要であると考えます。精神障がい者及びその家族の生きづらさや孤立感を軽減するため,精神保健福祉事業や自殺予防対策事業とも連携し,地域における精神障がい者への理解の推進,相談窓口の周知もさらに取り組んでまいりたいと思います。

(7)自殺の現状について

【質問】

質問します。都城の自殺者数および自殺死亡率はどうなっているか。

【答弁】

本市の自殺死亡者数は平成29年中37名で,これは人口10万人単位の自殺死亡率に直しますと22.11人に当たります。ちなみに全国では自殺死亡者数2万431人,自殺死亡率16.4人,宮崎県では自殺死亡者数199人で自殺死亡率18.4人となっており,本市の状況は国・県よりも高くなっています。

【質問】

質問します。自殺の原因についてどのように考えているか。

【答弁】

自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており,様々な要因が連鎖する中で起きていると考えられます。厚生労働省が発表しております「地域における自殺の基礎資料平成29年版」によれば,本市での自殺事例で原因が明らかなものでは,「健康問題」にあたるものが最も多く全体の54%,次いで「家庭問題」が17%、「生活・経済問題」が15%となっています。ちなみに全国での傾向は「健康問題」が40%,「生活・経済問題」が13%,「家庭問題」が11%となっており,全国平均よりも「健康問題」の割合がやや高くなっています。

(8)自殺対策について

【質問】

都城市自殺対策行動計画によると平成30年の目標値が10万人当たり21.0人となっております。国や県は減少傾向にある中,都城は平成27年に10万人当たり29.6人と増加しており,現状は目標値をクリアできず,国や県と比較して高い状態である。

質問します。自殺者がなかなか減少しない状況をどのように考えているか。

【答弁】

本市では,平成26年に「第1期都城自殺対策行動計画」を策定して対策に取り組んでまいりました。この計画により,これまで各機関・団体が個々に対策を講じていたものを,官民が連携・一体化し,さらには一般市民の理解と協力もいただきながら様々な施策を推進してまいりましたが,残念ながら自殺死亡者数の減少までには至ってはおりません。自殺死亡者が減少しない理由のひとつとして,いろいろな相談窓口の開設等しておりますが,どこに相談して良いかわからず,結局ひとりで抱え込んで自殺に至っていると思われます。様々な措置を講じ啓発活動にも取り組んでおりますが,いざというときの相談体制の充実について県と協力しながら今後進めてまいります。

【質問】

厚生労働省は今年3月ラインやツイッターで相談を受け付ける民間団体を助成する事業を実施し,相談件数は,1ヶ月で述べ1万件を超えたそうである。また,長野県が昨年9月の2週間,ラインで悩み相談を受け付けた結果は,390人547件で電話窓口の年間相談者数の2倍超に上ったそうである。また,九州内では,鹿児島県や熊本市が夏休み明けの9月をめどにラインなどの相談窓口を開設する予定と聞いている。大分県も実施を検討している。これは対策の一例ですが,県や国より高い自殺率である都城としては,何かしなければいけない状況である。

質問します。今後の都城の自殺対策はどうなっているのか。

【答弁】

自殺対策につきましては,様々な要因が複雑に関係していることから,福祉保健分野に限らず,様々な分野の人々や組織が密接に連携して,生きるための包括的な支援を行うことが重要だと考えます。今年度,第2期都城市自殺対策行動計画を策定します。それに当たり,初めて国より地域ごとの自殺対策に関する分析結果も届いております。それらをもとに本市の現状をあらためて精査し,これまで以上に効果的な対策を講じ,一人でも多くの命を救えるよう,引き続き努力してまいりたいと思います。

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